小田急電鉄の路線図はどこが変わったのか路線図マニアが読み解く(2/3 ページ)

» 2018年02月22日 07時30分 公開
[井上マサキITmedia]

相互接続による路線図の「長大化」

 小田急は千代田線、JR常磐線、箱根登山線に乗り入れており、路線図にも各路線の駅名が表記されている。

 今や、利便性向上のため「他社線との相互接続」は欠かせないものとなった。しかし、その一方で路線図は「長大化」に悩まされはじめている。限られたスペースに全ての路線と駅名を入れ込むため、各社苦労の跡がうかがえるのだ。

 例えば、みなとみらい線。東急・東京メトロ・西武・東武と相互接続しており、5社5路線が乗り入れる。神奈川県の元町・中華街駅から、渋谷や新宿を通り、埼玉県の森林公園駅まで南北に延びる路線になるが、それをそのまま直線で配置するスペースはない。苦心の跡がみなとみらい線の路線図から見て取れる。

みなとみらい線(横浜高速鉄道)

 みなとみらい線から北に向かうにつれ、渦巻き状に折りたたまれる路線図になってしまった。これが地図なら「みなとみらい駅と飯能駅って近いんだ」と勘違いしてしまいそうだが、路線図はあくまで「駅と駅とのつながり」を表現することが最優先。地図上ではおかしな位置関係でも、(ある程度は)違和感なく駅を認識できるのが面白いところ。

 小田急の路線図の場合、相互接続部分をグレーで囲むことで「小田急とは別のエリア」を表現しているため、みなとみらい線ほどの「時空のゆがみ」は感じない。

上:旧路線図、下:新路線図。新百合ヶ丘〜町田の分のスペースが空いたので、千代田線&常磐線の情報をゆったり書けるようになった

 今回の変更では、JR常磐線は駅ナンバリングが追加され、1駅あたりの情報量が増えた。また、小田急の車両種別の増加に伴い、上下の幅が狭くなってしまった。表記に十分なスペースを確保するため、左側へエリアが拡大している。

 先ほど、駅名が路線の上に移動したと述べたが、新百合ヶ丘〜町田が路線の上側に移動したことで、このエリア拡大も可能になっていることに注目したい。改めて、細かい位置の調整が行われていることに頭が下がる。

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