2点目は、共通のビジョンをしっかり共有することだ。
新規事業の立ち上げにはさまざまな部署の担当者が関わる。共通したビジョンを共有しながら進めることは簡単なようで難しい。
メルカリカウルの開発メンバーは藤崎氏、大杉氏、エンジニア3人の計5人。大まかな役割分担は藤崎氏が企画、大杉氏がデザイン、エンジニアが開発となる。チームを大きくしすぎないことも重要だという。
まず、「顧客が直感的に使いやすい、出品しやすいアプリをつくる」というミッションを全員で共有した。この作業をおろそかにすると、認識の違いから作業の出戻りなどの時間ロスが発生するためだ。
そのうえで、藤崎氏と大杉氏は何度も打ち合わせを繰り返した。「直感的で使いやすい」というのは実際に開発途中のものを自分で操作しないと理解できないからだ。
特に注力したのが出品画面の作り込みだ。バーコードをスキャンするだけで一番売れやすい価格が次々と表示される仕様だ。
「多くの人は、どうせ本は10〜20円でしか売れないと考えている。でも、実際は高く売れる本が結構ある。こんなに高い値段がつくんだという体験を提供すれば、出品のハードルを下げることができる」(藤崎氏)
一見すると「これだけか?」と思ってしまうが、この形に落ち着くまで1カ月近くを要したという。出品画面に掲載する要素をどこまで減らすのか、逆にどんな要素を付け足すのか、試行錯誤が続いた。大杉氏は「モック(スマホに表示される画面のサンプル)をつくって、藤崎と検討して、またつくりかえる――。この作業が大変だった」と振り返る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング