キミカの社歌を制作したのが、「社歌制作ドットコム」を運営するアイデアガレージだ。同社の西尾竜一社長は、キミカのように社員と一緒に作ろうとする傾向が「最近は多い」と指摘する。
「昔は、1つのステータスとして、箔(はく)を付ける目的で社歌を作る企業が多かったですが、最近は『社員のための歌を一緒に作りたい』という企業が多い。社員と一緒になって業績を伸ばしていきたい、と考える経営者が多くなり、その方法を模索しているようです」(西尾社長)
社歌制作のきっかけは、周年記念や経営者による発案のほか、複数企業の合併やグループ化、事業の新展開、経営者の代替わりなどがある。昔からある社歌を現代風に吹き替える依頼も多いという。
しかし、経営者が社員と一緒に社歌を作り上げたいと思っても、前向きではない社員も多いのが現実だろう。うまくいくのだろうか。
「社風にもよりますが、社員の反応としては、『そんなものに金を使うのか』という感じの人と、面白く思ってくれる人に分かれます。それでも、歌詞や意見を募ると、強制しなくても集まることが多いですね」と西尾社長は説明する。キミカでも、社員の半分程度が参加し、社長が想像していなかったような応募もあった。社員のさまざまな面を知るきっかけになっていた。
社歌制作のポイントについて、西尾社長は「どれだけ社員を巻き込むか」だと話す。制作の狙いや歌詞の募集要項について、しっかりと社内で広報すれば、良いフレーズが集まってくる。また、経営者と社員で、方向性が一致することが不可欠。「社長が『こういうものを作りたかったのではない』と感じてしまったり、社員が『社長が勝手にやっている』と無関心になってしまったりすると、うまくいきません」と指摘する。
「社歌が出来上がる過程で、会社が大切にしていることについて見つめ直す良いきっかけになります。ただ歌を作るだけでなく、みんなで一緒に作り上げることで、仕事について考えてもらうことが大きな目的なのです」(西尾社長)
会社が目指す方向性を共有し、それぞれの仕事を見つめ直すきっかけになる。そんな社歌が最近のトレンドになっているのはなぜなのか。また、社歌のつくり方はどのように広がっているのか。次回、専門家へのインタビューを通じて紹介する。
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