とことん気遣いしていますアピール――。
前述した「ドラマチック編」とは異なり、こちらはさり気ない気配りが特徴である。
「このメールへの返信は不要です」
一部で使われているメールのマナー。予測変換で出てくる「ありがとう」の送り合いで、メールボックスがパンクするのを予防する。
「このメールは、ここまで読んでいただければ結構です」
「この部分だけで結構ですのでご記入いただき、ご返信ください」
こうした文言は相手の負荷を軽減してくれるので、ホスト系社員の心の裏を感じることは難しい。ただ、気遣いアピールを連発してくるようであれば、「ははーん、なにか企んでいるな」と察したほうがいいだろう。
「御社のこのニュースに本気を感じました」
銀座のママが日経新聞をチェックするように、取引先のニュースは常にチェックしている。私はいつもあなたを見守っているアピールが強い。
この手のホスト系社員はやたらと握手を求めてくる。また、相手に対して手土産を渡す、社内の同僚に対して焼き菓子を振る舞うなど巧みなワザを効果的に使う。なお、お菓子は「つまらないモノですが……」といったフレーズは使わない。「大好きなモノですので」「おいしいモノですので」と、自分なりに精一杯尽くす傾向がある。
意識高い系社員と違って、ホスト系社員は相手に向き合っている点は評価できる。しかし相手をコントロールして、商談などを有利な方向に導こうとするので注意が必要だ。
読者の皆さんも、振り回されないように気をつけていただきたい。……とここまで書いていて、気になることが1つ。被害者を増やさないために、彼らの手口をご紹介したわけだが、“悪用”する輩がいるんだろうなあ。きっと。
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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