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» 2018年04月18日 07時45分 公開

巨大不動産企業、日本郵政の採るべき道は?小売・流通アナリストの視点(3/3 ページ)

[中井彰人,ITmedia]
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日本郵政のアライアンス話に注目

 そこで思い出してほしい。17年に1度マスコミに大きく報道された、野村不動産買収報道と、その後の破談のことだ。このときは、大手不動産会社の一角を占める野村不動産が日本郵政グループ傘下に、という衝撃的ニュースに騒然となった。重要な子会社の1つである野村不動産を渡して、実質的な交換条件として民間会社となった日本郵政グループという巨大な商流を取りにいく野村ホールディングス(HD)の姿勢に感心したものだった。

 郵便事業以外の日本郵政グループは金融事業の会社であり、野村HDの本業の世界なので、郵便会社を立て直すという貢献ができたならば、日本郵政グループ他社でも、パートナーを取れる可能性は高くなる。そのためには、「骨を切らせて肉を断つ」的な選択ができる野村HDは凄いなと思ったものだ。

 こうした野村グループと、最終的には破談に終わった日本郵政グループの不動産事業は、不動産子会社の設立という結論を出したように見えるが、これから先の展開が楽しみだ。

 素人大家さんにできる事業ではない以上、必ず次のアライアンス話が浮上する(復縁だってないわけではない)。事業用不動産開発に実績のある企業とのアライアンスを、日本郵政の事情にマッチした条件で提案できる金融グループに絞られる気がするが、ここはさまざまな可能性があるのだろう。

 ただ、この選択も、少なくとも、首都圏中心部の不動産需要が保たれている数年内にしなければ、日本郵政の保有資産の魅力は低下することになるだろう。実態的には不動産への需要自体はもう既に低下し始めており、首都圏への人口流入も、減少に転じるのはそう遠くはない。

 東京オリンピックをゴールに現在建設中の物件が一斉にオープンした後は、都心部といえども飽和が明確になることは避けがたい。首都圏では、マンション市況なども、中古マンションが発売価格をかなり上回る価格で取引が成立しているという異常な状況だ。一般論だが、建物の価値が大半を占めるマンションで、新規販売もある中で、経年劣化していく建物がその価値を上げるなど異常な状況と言わざるを得ない。バブル時代を経た元金融マンの素直な感想である。

 少しでも早い日本郵政不動産事業の確立を心からお祈りする。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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