フォーミュラEが今後、右肩上がりに隆盛するのかを聞くと、赤井氏は「また、それは別」だと否定する。「日本の自動車メーカーの技術力をもってすれば、現行ルール以上の性能を誇るマシンを作ることは容易です」(赤井氏)。一方、EV自体がコモディディ化しやすいこともあり、「エンジニアとしてはモチベーションを上げにくいのは事実でしょう」と分析する。
また、F1は商談や接待の場にも使われるが、フォーミュラEはF1以上に商業的な色彩が強い。そのせいか、「メーカーもどこか本腰を入れられていない印象も受けます」と、フォーミュラE主催者側の姿勢に疑問を呈した。スイスの大手プライベートバンク「Julius Bear(Julius Bär)」(ジュリアス・ベア銀行)が、フォーミュラEのメイン・スポンサーになっている点についても「彼らはグランプリごとに投資家を呼んで商談を進めていますね」と実情を吐露する。
では、フォーミュラEに代わる将来性のあるレースがあるかといえば、ないのも事実だ。現在、日系企業では、半導体大手ルネサス エレクトロニクスが、時価総額1兆円を超えるインドの多国籍企業Mahindra & Mahindra(マヒンドラ)と技術提携をし、インド市場向けの技術開発を狙っている。半導体・電子部品の大手ロームも、インバータに使われるシリコンカーハイド(SiC)を、モナコに本拠を置くフランス企業Venturi automobiles(ベンチュリ・オートモービルス)に提供する。
パナソニックに至っては、Jaguar Racing(ジャガー・レーシング)のメインのスポンサーになった。東京モーターショーの約1カ月前に開催された、日本最大のIT見本市「CEATEC JAPAN 2017」でも、パナソニックは電池の宣伝をし、ロームのブースでもフォーミュラEを強く押し出していた。
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