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» 2018年06月14日 07時33分 公開

夏目の「経営者伝」:優秀なバイヤーは一番高い価格で買う コナカ社長の考え方 (4/5)

[夏目人生法則,ITmedia]

お金やモノより勇気を無くすほうが怖い

 話を戻そう。熱処理を加えつつの縫製は、コナカにとって実現が難しいことではなく、02年、コナカは「夢の防シワスーツ」を売り出した。これが「シャワークリーンスーツ」に進化した。意外だが、ウールは汚れに強い。着るたびに洗わなくてもよいのは、繊維が汚れを弾き、内側に入れないからだ。

 だが、コットンや木綿のように洗濯機で洗うと、均質にひねられていた糸がこすれてヨレヨレになってしまう。ならばと糸の強度を高めた「ウォッシャブルスーツ」もあったが、洗濯のあと丁寧にアイロンをかけないと着られなかった。

 そこで、先の日本人技術者は考えた。防シワスーツのような復元性を持ったスーツにシャワーをかければウールの表面についた汚れを水洗いできないか? スーツの生地は水を弾くが、ならば繊維をつくるときに水に溶ける糸を混ぜておけばいい。生地にする前に水で溶かせば、絶妙なスキマができて水を弾かなくなり、汚れを洗い流せるはずだ――。

「ULTRA WASH SUIT」。洗濯乾燥機から取り出せばもうこの感じ。夏を前に爆発的に売れている

 そして、技術者はこのネタをコナカに持ち込んだ。以下は、その日本人技術者のコメントだ。

 「我々は技術情報を無償で提供していたので、日本企業のなかには『いいモノがあれば持ってきてもいいよ』という、あまり熱心でない対応のところも多かったんです。その点、コナカさんは技術開発時に工場を見せてくれるなど快く協力してくれていました」

 この話を受け、コナカ社内では激論が交された。スーツにシャワーなど聞いたことがない。水をかけるのは勇気がいる。果たして消費者は受け入れてくれるのか? 湖中氏はこう判断した。

 「日本の消費者は世界で一番厳しい。ということは、こういった進化もきっと受け入れられるはずだ。日本の消費者を信じよう!」

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