湖中氏の姿勢は、一貫している。まず「怖れず、オリジナルの何かをつくろう」とする。彼はよりよい答えを求め、世界を探索し、他者と敬意を持って接した。するとあるとき、探索で知り得たモノが急に重なって自分だけの何かがつくれた。そして、せっかくいいモノができたなら、奇異な印象があっても思い切って世に出そう。
「要するに、私は楽観的なんです。ただ、それが意外と大事だとは思います。人生も経営も同じかもしれませんが、お金やモノをなくすより、勇気をなくすことのほうが恐ろしいことですから……」
こうして08年に「シャワークリーンスーツ」が世に出た。商品はロングセラーになり、「シャワークリーンスーツ以外は着る気がしない」といった顧客も現れた。しかも、湖中氏の快進撃は始まったばかりだった。
(後編に続く。6月18日掲載予定)
1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店入社。退職後、経済ジャーナリストに。現在は業務提携コンサルタントとして異業種の企業を結びつけ、新商品/新サービスの開発も行う。著書は『掟破りの成功法則』(PHP研究所)、『ニッポン「もの物語」』(講談社)など多数。
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