1960年、大阪府生まれ。82年にコナカ(当時の日本テーラー)へ入社、84年神戸大学法学部を中退。'91年取締役へ就任し、99年に常務取締役、2003年に専務取締役へ就任。05年から現職。紳士服のフタタ、KONAKA THE FLAGなど多業態を展開し、連結売上高約700億円の企業を率いる。
「実は私、たびたび同じ悪夢を見るんですよ」
コナカ社長の湖中謙介氏が話す。いったいどんな闇を抱えているのか?
「1日待っていても、お客さまが1人もいらっしゃらないんです。そして『これではみんなが路頭に迷う、社員や取引先の方にどうお詫びすればいいのか!』とうなされて目を覚ますんです。お客さんが『これしかないのか』『これ、前に買ったよね』とつまらさそうな顔で帰ってしまうバージョンもあります」
そして2014年、彼がうなされるほど怖れていることが現場で起こった。
湖中氏の趣味は、店員としてお店に立つこと。コンビニで社長がレジを打っていたら驚くが、これも彼なりの“探索”なのかもしれない。そして、300着ほど吊してある中型店で接客していたときのことだ。
「お客さまが、何着か試着されても表情がさえず、帰ろうとするのです。私は名刺をお渡しし『どのような品があればよかったか、お聞かせいただけませんか?』とお願いしてみました」
お客さんは「社長!?」と目を丸くし、忌憚(きたん)ない意見をくれたという。いわく「自分にぴったりなモノがなかった」「形も、色も、うまくいえないけど、どこか違った」らしい。決して示唆に富んだ言葉ではないが、湖中氏にとっては、深く考え込むきっかけになった。何しろ、悪夢に似ている。しかも彼には、何か刺激を受けたら考えこむクセがあった。
そして、他業界の人間が聞いたらコケるほど当たり前の事実を見出した。彼が真剣な顔をして話す。
「これが非常に重要な気付きだったんです。大型店をつくってスーツを1000着吊して、1着売れたとします。これ、残りの999着はなくてもよかったんですよ」
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