子どものころから「変人」と言われていた人もいるだろう。周囲が「これが普通」と言うものが受け入れられない、受け入れたくない。
だが、安心してほしい。優れた起業家や商品開発者の多くが、実はこの類の人物だ。皆、出会い頭に何かの仕事を始め、業界の“当たり前”が受け入れられず、自分なりの何かをつくった。その結果が、商品の大ヒット、会社の大躍進だったのだ。湖中氏の生き方を見ていると、彼は「迷え、迷え」と激しいアジテーションをしているかのようだ。
いや、実際にしている。
「17年だったでしょうか、商品開発担当者に『そろそろ洗濯機で丸洗いできるスーツはつくれませんか?』と話したんです。市場には、Tシャツのように洗濯できるスーツがありませんでした。洗濯用のネットに入れれば洗えるとか、ウール専用の洗剤を使ってほしいとか、洗ったらアイロンをかけてほしいとか、何かお客さまにご面倒をおかけするモノばかりだったんです」
今までにないモノをどんどんつくろう! という気合は分かるが、言われた社員は困るに違いない。
「きっと心の中で『またか』と思ったはずですよ(笑)。ただし、可能性は広げておかないと、面白いものはできないんです。そして『どんどんトライしようよ』と言うのは経営者の仕事なんです。
もちろん、動きやすいように制度も整えていますが、失敗しても何もとがめません。逆に、何もやらない人間がいたら背中を押す、当社はそんな評価体系を持っています」
湖中氏は“これまでになかったモノをつくれる”ように、組織全体を変えようとしていたのだ。評価体系だけではない。例えば湖中氏本人もよく失敗をしてみせ、ネタにもしているという。例えば? と聞くと、彼は「工場にムチャを言って怒られたり……」とか。また、湖中氏同様、社員もどんどん海外に行って人に会う。技術的な積み重ねがあれば、一見、荒唐無稽な話も実現不可能ではなくなるからだ。
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