子どものころから「変人」と言われていた人もいるだろう。周囲が「これが普通」と言うものが受け入れられない、受け入れたくない。
だが、安心してほしい。優れた起業家や商品開発者の多くが、実はこの類の人物だ。皆、出会い頭に何かの仕事を始め、業界の“当たり前”が受け入れられず、自分なりの何かをつくった。その結果が、商品の大ヒット、会社の大躍進だったのだ。湖中氏の生き方を見ていると、彼は「迷え、迷え」と激しいアジテーションをしているかのようだ。
いや、実際にしている。
「17年だったでしょうか、商品開発担当者に『そろそろ洗濯機で丸洗いできるスーツはつくれませんか?』と話したんです。市場には、Tシャツのように洗濯できるスーツがありませんでした。洗濯用のネットに入れれば洗えるとか、ウール専用の洗剤を使ってほしいとか、洗ったらアイロンをかけてほしいとか、何かお客さまにご面倒をおかけするモノばかりだったんです」
「DIFFERENCE」店内
今までにないモノをどんどんつくろう! という気合は分かるが、言われた社員は困るに違いない。
「きっと心の中で『またか』と思ったはずですよ(笑)。ただし、可能性は広げておかないと、面白いものはできないんです。そして『どんどんトライしようよ』と言うのは経営者の仕事なんです。
もちろん、動きやすいように制度も整えていますが、失敗しても何もとがめません。逆に、何もやらない人間がいたら背中を押す、当社はそんな評価体系を持っています」
湖中氏は“これまでになかったモノをつくれる”ように、組織全体を変えようとしていたのだ。評価体系だけではない。例えば湖中氏本人もよく失敗をしてみせ、ネタにもしているという。例えば? と聞くと、彼は「工場にムチャを言って怒られたり……」とか。また、湖中氏同様、社員もどんどん海外に行って人に会う。技術的な積み重ねがあれば、一見、荒唐無稽な話も実現不可能ではなくなるからだ。
- 日本の親が子どもを「モノ」扱いしてしまう、根本的な理由
東京都目黒区で船戸結愛ちゃん(5)が虐待の末に死亡した。痛ましい事件が起きた原因として、専門家からは「児童相談所と警察がきちんと連携していなかったからだ」「児相の人員が不足しているからだ」といった声が出ているが、筆者の窪田順生氏は違う見方をしている。それは……。
- キリンの月額制ビールは大人気なのに、なぜ再開できないのか
キリンビールが展開している「キリンホームタップ」が人気を集めている。専用サイトで申し込むと、月額6900円で自宅用のビールサーバーを借りられるわけだが、現在は受け付けを中止している。なぜこのような事態になったのか、担当者に聞いたところ……。
- 優秀なバイヤーは一番高い価格で買う コナカ社長の考え方
「紳士服のコナカ」「SUIT SELECT」などを全国に展開し、年間約700億円を売り上げる株式会社コナカ。2016年にはカスタムオーダースーツを3万5000円から買える店「DIFFERENCE」の展開するなど、ユニークな会社だ。同社の湖中謙介社長にインタビューした。
- サイバーエージェント社長が明かす「新規事業論」
自ら事業を立ち上げ、会社を成長させていく起業家たち――。本連載では、そんな起業家たちの経営哲学に迫る。今回登場するのは、サイバーエージェントの創業社長、藤田晋氏だ。
- 赤字の海外事業を立て直したサイゼリヤの「たたき上げ役員」
サイゼリヤは中国やシンガポールなどの海外6法人で約370店舗を運営している。同社の利益に大きく貢献する存在に育った海外事業だが、進出当初は赤字に苦しんだ。その事業を立て直したのはサイゼリヤ一筋で働いてきた「たたき上げ役員」だった。
- EVスポーツカーに挑むエンジニアが追い求める“失敗”
EVスポーツカーの開発で注目されるGLM。ベンチャーでありながら量産車開発を実現した同社の技術力の要が、技術本部長の藤墳裕次さんだ。藤墳さんのモノづくりへの思いと“失敗”を重ねた開発について聞いた。
- 「広辞苑」10年ぶり改訂 編集者が語る“言葉選び”の裏話
2018年1月に、国民的辞書「広辞苑」の第7版が発売される。「アプリ」「クラウド」「ビットコイン」などのIT用語や、「萌え」「クールビズ」など過去に掲載を見送った言葉が新たに追加されるという。広辞苑の編集者は、どのような方針や考え方で項目を選んでいるのだろうか。
- 小さな定食屋に“お手伝い”が全国から集まる理由
東京・神保町にある小さな定食屋「未来食堂」。この未来食堂には年間で約450人もの“手伝いさん”が国内外からやって来るという。一体なぜなのか。オーナーの小林せかいさんに話を聞いた。
- 「ザ★チャーハン」が男性の胃袋をつかんだ理由
味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」が、冷凍チャーハン市場拡大に貢献している。中華料理店のチャーハンのような味や香り、独自性のあるパッケージはどうやって生まれたのか。担当した、マーケティング本部の田中宏樹さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.