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» 2018年06月26日 07時00分 公開

HR Techは人事にとって魔法か、それとも脅威か:人間とハイテク、スカウト上手はどちら? HR Techとスゴ腕面接官が対決 (3/3)

[服部良祐,ITmedia]
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採用の可否を決めるのは「人間」

 安藤さんにも感想を聞いてみた。1回目はオーソドックスな面接にしたという。「通常、面接官は応募者の情報が乏しい状態で会う。うちの会社に合うか、何を働く動機にしているのか。こうした人間的な部分は職務経歴書にも書かれない。その状態では通り一辺倒に聞くしかない」(安藤さん)

 安藤さんによると、HRアナリストで分かったのは「他の人との関係性をどう築くか」「環境や生活が大事」「どういう話に反応するか」といった応募者のいろいろな価値観。「HRアナリストを使うとあらかじめ応募者の人柄に対して仮説を持って面接に臨める。すごく役に立つし手間が省ける。面接時にこうした価値観を回りくどく聞く必要がなくなる」(安藤さん)

 実際、安藤さんは「ヤンチャぼうず」といった分析結果を踏まえ「過去に感情的になった場面はありますか?」とドキッとする質問をした。「どの部分をヒアリングしたりアピールするべきかを書いている。特に人事のプロでない事業部の面接官に向いている」と評価する。

 ではなぜHRアナリストは応募者の“プロファイリング”ができるのか。シングラーのCEO、熊谷豪さんによるとカギは事前に記者が受けたアンケート。「面接で聞くべきことを先に聞くのがこのサービス。応募者のニーズや好みをアンケートで聞いて把握している」(熊谷さん)

 HRアナリストでは基本的にすべての応募者に同じアンケートを受けてもらう。「こう答えた人はこういう意思決定の傾向を持っている」といういわばペルソナ(人格)のパターンを1万6000通り用意。回答に当てはまるパターンに沿った面接戦略を提案する。

photo HRアナリストの事前アンケートのサンプル

 一般的な面接では適性検査もよく使われる。しかし熊谷さんは「適性検査の結果は数値で表されるので面接官はそれを読み解かなくてはならない。こちらはじかに採用につながる行動を促せる」と説明する。また、適性検査は不適合な人を落とすためによく使われるが、HRアナリストはネガティブな要素だけでなく良い部分も強調し、採用に結び付けているという。

 記者も転職に向けて少し気持ちがぐらつく程だったHRアナリストの力。ただ、ちょっと不思議な質問も。2回目の面接ではワークライフバランスの良さが強調されたが、記者はあまり関心を持てなかった。アンケート結果が少し外れたようで、安藤さんも「記者職はちょっと不規則だから勤務時間は気にしないのかも、と想定して質問しても良かった」と打ち明ける。

 プロ面接官の安藤さんも評価するHRアナリスト。一方で「採用の可否を決める書き方にはなっていない」とも指摘。「とても使える武器。しかしそれを振るう人間の“筋肉”にはならない。人事はドラマティックに応募者に質問し話す力を磨く必要がある」(安藤さん)。

 面接向けのハイテクの有用性を認識させられた今回の取材。だが企業がHR Techをより活用するためには、人事が「アナログ力」を求められる可能性は高いように感じた。

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