空前の売り手市場で、人事は「若手の採用の難しさ」に直面している。優秀な人材はますます採りにくくなり、コストをかけて採用した人材も「ミスマッチ」を理由に辞めていく……。
「ミスマッチ」時代に、何が起こっているのか。その“逆風”の中、人事は何ができるのだろうか。
人事をずっと悩ませてきた、若手社員の離職率の高さを指す「3年3割」問題。就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」の調査によると、平成生まれで新卒3年目までに会社を退職した人の理由のトップは「キャリア成長が望めない」だった。入社後に若手が感じるギャップをどう埋めるかは難しいテーマだ。
その答えを「OB・OG訪問」に見いだしたサービスがある。ITベンチャーのVISITS Technologies(東京都港区)が開発した、OB・OGと学生をマッチングする「VISITS OB」だ。導入企業のOB・OGは自身のプロフィールなどの情報を書き込んだWebページを作成。学生側も同様のページを作り、読んで共感したページを互いにフォローする。お互いフォローし合った学生とOBが初めてコミュニケーションできる仕組みだ。登録学生は約7万5000人、利用企業も約2000社に上り、メガバンクや外務省、経済産業省も利用実績がある。
空前の売り手市場の中、従来のOB訪問のように企業に所属する社員が大学の後輩の訪問を待つだけでは、学生に接触する機会を増やせない。システム上でマッチングすることで、企業側からも優秀な学生を見つけ出すことができる。ただ、ネット上の採用のマッチングサービスなら他社でも例がない訳ではない。VISITS OBが変わっているのは「会社の求人情報を書かせない」点だ。
OBは学生の時何をしていたのか、経歴、今のどんな仕事をしていて将来どうなりたいのかといった具体的で個人的なストーリーをひたすら書く。自然と学生は給与や福利厚生といった一般的な就活でのポイントから離れ、「このOBのようになりたいか、一緒に働きたいか」という点で企業を選ぶようになるという。
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