メッセージが増えたきっかけはもう一つある。15年に導入した「ポイント制度」だ。メッセージをもらうと3点、贈ると1点を獲得できる。たまったポイントに応じて、バッジがもらえる。バッジは「ダイヤモンド」「プラチナ」「ブロンズ」の3種類。17年には、年間獲得ポイントが最も多い人に対する表彰も始めた。「ポイント制を導入したことで、互いに楽しみながら続けられる環境を整えることができました」と高野さんは話す。
また、児童養護施設の支援活動にもつなげた。メッセージ送信枚数1枚につき1円を物品購入や航空教室などのイベント開催に使っている。「今の若い人たちは社会貢献活動に対する意識が高いんです。社会貢献につながる取り組みにしたことも増加の一因だと考えています」(高野さん)
一方、グローバルで取り組みを広げようとすると、なかなか理解を得られない地域もあったという。Good Jobカードによって得たポイントが直接人事評価に反映されるわけではないからだ。
「海外の一部の地域では、『カードを書くことで何が得られるのか』と問われ、理解してもらうのに苦労しました」(高野さん)。そんなとき、国によって文化が異なることを説明材料に使ってしまいがちだが、そうしなかった。「“日本の会社”としてではなく、あくまで『ANAのカルチャー』として、意義を説明しました。今では、それに共感して使ってくれる人も増えました」と高野さんは話す。
毎年実施している従業員の意識調査では、「Good Jobカードの使用が多い部署の従業員は、仕事への満足度が高い」という結果も出ている。仕事に取り組む姿勢を前向きにする効果があるようだ。そんな良い循環を生む仕組みは、簡単に構築できるものではない。しかし、自社の業務や社員に合った仕組みを少しずつつくり込んでいけば、「称賛」を習慣にすることも難しくないのかもしれない。
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