自販機のボタン一つで宅配弁当 サントリーとぐるなび、協業のメリットは?飲食店の出来立ての味をオフィスで(2/2 ページ)

» 2018年07月06日 12時30分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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飲食店のデリバリー負担を軽く

 このサービスの開発に対しては、サントリービバレッジソリューションとぐるなびの両社がそれぞれ投資。ぐるなびのノウハウを活用したコールセンターも設ける。

 サントリービバレッジソリューションの土田雅人社長は、宅弁について「自販機市場の活性化につながる」と説明する。日本は自販機市場が非常に大きいが、設置台数は飽和状態。コンビニなど競争相手も多く、市場規模は微減傾向にあるという。

 職場の外にランチに行くと、店で飲み物を飲んだり、コンビニで買ったりすることが多い。一方、自販機で弁当を注文して受け取れば、そこで飲料のついで買いも期待できる。販売の増加を見込める。

photo サントリービバレッジソリューションの土田雅人社長(左)、ぐるなびの久保征一郎社長

 ぐるなびが業務支援する飲食店にとっては、手間やコストをあまりかけずに売り上げを増やす機会が得られる。ぐるなびの久保征一郎社長は「宅弁は、デリバリーサービスでネックになっていたことが発生しない、画期的なサービス」と指摘する。

 飲食店がデリバリーを手掛けることは、売り上げの増加につながるが、「配達要員の確保が必要」「まとまった注文量がないと利益にならない」などといった課題があり、リスクも高い。宅弁は、配達先が近隣の企業で、配達日や配達場所、時間帯も決まっている。注文を取ったり集金をしたりする必要もないため、大掛かりな人員確保や配達コストの負担なく、導入できる。

 弁当が1個売れるごとにサントリービバレッジソリューションとぐるなびに手数料が入る仕組みだが、飲食店にとっては「通常、テークアウトで提供する弁当と同じ収益を得られる」(サントリーの担当者)ようになるという。

photo 正午までに飲食店から弁当が届けられる

 宅弁を利用する人が増えていけば、利用者にも飲食店にもメリットがあるサービスになりそうだ。そのためには、まず企業やそこで働く人に利便性を知ってもらい、積極的に利用してもらうことが必要だろう。担当者は「導入企業や従業員の方とも協力して、一緒につくり上げていきたい」と話している。

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