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「褒め言葉」はいらない 上司のこんな行動が部下を“前向き”にする!河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/4 ページ)

» 2018年07月13日 07時15分 公開
[河合薫ITmedia]
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「心」を大事にすれば、部下は動く

 相手への敬意、部下への敬意――。

 この気持ちが「部下」を動かします。実は先の大企業のトップは、若い頃、かなりのイケイケで生意気だったと言います。でも、「口だけ番長」にならずに、自主的に動き、より真剣に取り組み、仕事を次々と成し遂げ、リーダーとして頭角を現したのも「一人の社会人」として真正面から向き合ってくれた上司がいたからです。

 そして誰もが、自分に敬意を払い、「一人の社会人」として向き合ってくれる上司に出会った時、「おかしなことはできない」と前に進む努力をすると思うのです。

 とはいえ、まだまだ経験も浅い、スキルの未熟な社会人初心者です。気持ちだけでうまく回るわけもなく、逆に気持ちだけが空回りしてしまうことだってあるでしょう。

 ここが「上司の出番」です!

 部下の教育は、上司自身が部下を「一人の社会人」として敬意を払うことから始まり、その先で手ほどきする。仕事に必要な情報、知っておくべきこと、やっておくべきことなどを部下に手ほどきする「インフォメーション上司」として、隣に立てばいいのです。

 そこに「愛のムチ」は必要ないし、「褒め言葉」も必要なし。

 きちんと部下がやっていれば、「やってるな! ちゃんと見てるぞ!」とメッセージを送り、部下が壁にぶつかっている時には、「おう、どうした?」と声をかけ、部下がやってくれた時には、「よし! いいぞ!」と認めればいい。

 相手の「心」をちょっとでもイメージすれば、自ずと「言葉」をかけたくなるのではないでしょうか。

 確かに褒められればうれしいかもしれません。褒められると「よし!」という気持ちになるかもしれません。

 でも、「教育のため」の褒め言葉なんて必要なし。少なくとも私は、そんな褒め言葉、いらない 。それより「私を認めてほしい」と願います。自分がやっていることをきちんと「見てほしい」と。そして、その「心」を潤す「言葉」が届いた時、それは自分にとって「最高の褒め言葉」になっていくのです。

【更新:2018年7月13日19時00分 諸事情により、内容を一部変更しました。】

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)


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