すしを売らない「スイーツ専門店」開業 スシローの新たな挑戦の狙いは本格展開も視野(1/2 ページ)

» 2018年07月19日 15時43分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 回転すしチェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローは7月19日、20〜29日の期間限定で東京・表参道にオープン予定のスイーツ専門店「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」を報道関係者向けに公開した。若い女性がターゲットで、主力商品のすしは販売せず、スイーツとドリンクのみ取り扱う点が特徴。店内にはカラフルな装飾を施し、“インスタ映え”する内装に仕上げている。

photo スイーツ専門店「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」

「COURTESY」監修のマカロンなど販売

 2017年11月に始まったスイーツ強化の取り組み「スシローカフェ部」の一環。回転すしチェーンがスイーツ専門店を出店するのは初という。

 出店したのは、JR山手線の原宿駅から徒歩3分圏内の「原宿ピアザビル」(渋谷区)1階。店内では、東京・赤坂エリアで人気のフレンチレストラン「COURTESY(コーテシ―)」が監修した、新商品「あふれるこぼれる抹茶の和カロン」など9種類のスイーツと、すしに沿える「ガリ」を使用した「真夏のさっぱりガリジンジャーエール」など5種類のオリジナルドリンクをセットで販売する。

photo 「あふれるこぼれる抹茶の和カロン」

 パンケーキ専門店「VERY FANCY」が監修した「ベリー夏盛りパンケーキ」、アップルパイ専門店「グラニースミス」が監修した「ゴロっとひんやりアップルパイ」のほか、スシローのオリジナル商品をリニューアルした「太陽のフレッシュメルバ」「爽快フルーツカタラーナ」――などもそろえる。セット価格はコラボ商品が600円、オリジナル商品が500円(ともに税込)。

本格展開も視野

 オープン期間中は、来店者数や顧客満足度などを調査する。結果やノウハウを生かしてスイーツ専門店を都心部の駅ビルなどに出店し、本格的に運営する案も検討中という。実現した場合は、郊外中心だった従来の運営形態では難しかった、新たな顧客層の獲得が可能になる。

 あきんどスシローの中野智之 コミュニケーション企画推進室長は「スイーツ専門店は当社にとって新たな挑戦だが、他社との差別化要因にもなり得る。より多様な顧客に訪れていただき、成果につなげられれば」と期待する。

photo 店内の様子。本格的に運営する案も検討中だ

スイーツの売上高を増やす

 持ち株会社スシローグローバルホールディングスの17年9月期の売上高は1564億200万円だが、スイーツ類はそのうち約6%に当たる約94億円に上る。あきんどスシローの小河博嗣執行役員は「スイーツ類の売上高に占める比率が上がるにつれて、評価とニーズの高まりを感じている。原宿・表参道エリアのトレンドを吸収してスシローカフェ部をさらに活発化し、本格展開につなげたい」と意気込みを話す。

 18年9月期以降の目標値は非公開だが、本格展開などによってスイーツ類の売上高をさらに高めていく計画だ。同社はその足掛かりとして、今回の施策に合わせて「スシローカフェ部」のブランドロゴを刷新。「そそる、べつ腹。おどれ、ココロ。」とのキャッチコピーも設け、若い女性へのさらなる訴求を図っていく。

photo 新たなブランドロゴ

女性社員の採用も強化

 ターゲット層と同じ若手女性社員を採用し、アイデアなどを運営に生かす取り組みにも注力している。「表参道スイーツテラス」のオープンに当たっては、パティシエとして働いていた人材や、広告代理店でマーケティングを担当していた人材などを採用。デザインや企画などを任せたという。

photo スシローに加わった、元パティシエの恩地愛さん(=左)、元広告代理店の林麻衣子さん(=右)

 これが奏功したのか、内覧会では、たまたま店舗の横を通りかかった女子学生グループが「スシローのお店がこんな所にできたんだ!」と驚き、興味を持って店舗の外観を眺める場面もあった。

 小河執行役員は「『デザートのスシロー』というイメージを持ってもらえるよう、今後も商品開発を進める。フードコート向け店舗『スシローコノミ』、すし居酒屋『杉玉』などの新業態店でもスイーツ類を拡充していく」と意気込みを語った。

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