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» 2018年07月31日 06時00分 公開

ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのかビジネスモデルを徹底検証(4/4 ページ)

[坂口孝則,ITmedia]
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店舗づくりの巧みさ

 食料品と非食品領域では利益幅が違うと説明したが、後付の解説でいえば、この2領域をうまくすみ分けさせるための試行錯誤が続けられている。消費者は食品を1円単位でシビアに選別する。簡単にいえば、食品を購入する際は誰もが価格の「安い」「高い」に敏感になる。しかし、同じ消費者でも、非食品であれば、そのシビアさは緩和する。

 だから、食品と非食品を併売する店舗は、非食品のコーナーに立ち寄ってもらう際に、マインドを切り替えてもらわなければいけない。いままでのスーパーが苦手なのは、この切り分けだ。想像してもらえば分かるが、地方のスーパーでは食品の隣に日用品を置いている店舗がある。すると、消費者は食品のようなシビアな目で、日用品を“査定”してしまい、日用品をさほど買おうとしなくなる。あるいは、利ざやの薄い低価格商品しか買おうとしない。

 それに対してドンキは、食品売り場を比較的ではあるが整理整頓された空間にしており、日用品とのフロアも分けている。すると、消費者は日用品フロアに入ることで、気持ちが切り替わる。奥に進むと、そこは迷路のようになっており、食品という日常から、非日常に誘われる。

photo 非日常感を演出するポップ

ドンキの快進撃は続くか

 以前、知人たちとバーベキューをした際、肉と炭がなくなった。すぐさま必要だったので、参加者がドンキに行こうと提案した。ドンキでは肉と炭だけでなく着火剤を購入した。さらに、他の階でたまたま見つけたお菓子と子どもたちが遊ぶ玩具まで買うことになった。

 「あそこに行けばなにかあるだろう」という安心感。きっと、時間つぶしに立ち寄るお客も多いに違いない。私がドンキの店舗を取材した際、「デートでお越しになるお客さまもいます」と聞いた。まるで、仮想敵はディズニーランドかUSJのようだ。

 何か1つの施策をとりあげて、これが同社の成功源というのはたやすい。しかし、本当は、1つの施策ではなく、複数の施策と、たゆまぬ努力が背景にある。

 私は、しばらく同社の動向を観察し続けたいと思う。そして、ドンキ流を取り入れた各社がどうなるのかもあわせて。

著者プロフィール

坂口 孝則(さかぐち たかのり)

調達・購買業務コンサルタント、講演家。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。著作26冊。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。日本テレビ「スッキリ!!」等コメンテーター。


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