カジノ運営権獲得に向け、海外企業が大阪でPR夏の陣熱視線(2/4 ページ)

» 2018年08月24日 06時00分 公開
[ロイター]

カジノ運営会社の幹部、ロビイストや政治家など数十人への取材を通じ、カジノ誘致に前向きではない大阪府民の支持を得ようとする外国企業の高度なキャンペーンの姿が明らかになった。

一方、大阪府はカジノ事業者選定に関わる不透明さ、不正を一切排除するため、カジノ事業者との接触には厳格なルールを定めている。

「IR推進局における事業者対応等指針」では、「事業者提案や面会は、原則として庁舎内において2名以上で対応する」とされているほか、事業者との会食・パーティー、事業者から宣伝用のカレンダーや文房具などの事務用品を受け取ることが禁じられている。

現時点で、少なくとも8つの大手カジノ運営業者が大阪府と接触している。そのうちMGM、サンズ、メルコは、日本でのIR事業参入に関し、100億ドル以上の投資をする準備があると表明している。

<ドリームアイランド「夢洲」>

大阪は、「夢洲(ゆめしま)」と呼ばれる大阪湾の人工島にカジノを設置したいとしている。

夢洲は、1970年代の大阪における経済成長期に造られた。海岸沿いのエリアはかつて、化学工場や造船所が並び、多くの労働者が住む地域だった。

バブル経済の崩壊で大阪も打撃を受け、20年間にわたりこのベイエリアと大阪の街自体に活力を取り戻すことができずにいる。

しかし、大阪への外国人旅行者は5年間で4倍超に増え、2017年には過去最多の1100万人の外国人客が大阪を訪れた。「食い倒れ」で知られる食べ物の魅力と近隣の観光地へのアクセスのよさが観光客を引き付け、カジノ事業者の期待も高まる。

メルコのホーCEOはロイターの電話取材で「私の人生で最大のチャンスだ」と述べた。

大阪府の資料によると、2012年から2018年5月までに、11のカジノ企業の幹部が「表敬訪問」として、松井府知事と面会した。2017年5月以降、IR関連企業の関係者は、職員と119回会っている。大阪府は職員と会った企業の内訳については明らかにしなかった。

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