カジノ運営権獲得に向け、海外企業が大阪でPR夏の陣熱視線(4/4 ページ)

» 2018年08月24日 06時00分 公開
[ロイター]
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<センシティブな話題>

NHKが3月に行った世論調査によると、大阪府民の42%が、ギャンブル依存症への懸念などからカジノに反対、賛成は20%に満たない。

大阪府では、住民の支持を得ようと、依存症に関するセミナーを行ったり、経済効果を宣伝している。府と市の共同内部組織であるIR推進局によると、IR設置で、年間約8万人の雇用が生まれるという。

しかし、カジノ反対運動をしている阪南大学の桜田照雄教授(経済学)は、IRの雇用は、ほとんどが非正規で賃金も低いと指摘する。「彼らは、観光産業と外国人の需要で地元経済を活性化させようとしているが、これは持続可能なモデルではない」と述べる。

カジノ事業者による大阪府への積極的な働きかけに対し、これまで不当行為に関する目立った告発はない。

唯一、問題になりかけた事案は、大阪府との間でカジノに関する3億7700万円のアドバイザー契約を結んでいるPwCコンサルティング合同会社の職員1人が、MGMの船上パーティーに出席していたことだ。違法ではないが、注意を受けた。PwCの広報担当者は、契約条項に違反はしていないと述べた。

松井知事は、今後の事業者選定のプロセスについて「今の時点では、IRのこの事業に対しては、フルオープンで、住民のみなさんに不公平や何かそこに疑いを持たれないようにしていくのは当然」とし、こう述べた。「大きなおカネが動くビッグビジネスになるのは、もう間違いないわけですから」──。

(Thomas Wilson, Mari Saito 翻訳:宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

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