多くの家庭でリビングやキッチンの隅に置かれている「ごみ箱」。家庭用品の中でも地味な存在かもしれない。しかし今、1台で約3万円もするごみ箱が注目を浴びている。すごい勢いで売れているのだ。
そのごみ箱は、英国のキッチン用品ブランド「Joseph Joseph(ジョセフジョセフ)」が2017年10月に発売した「クラッシュボックス」。2万7000円(税別)という価格にもかかわらず、日本で発売後、10カ月で約6500台を販売。初年度の年間売り上げ目標3000台をすでに大きく上回っている。
8月22日に商品ラインアップを拡充し、「1年間で1万8000台」という新たな販売計画を掲げた。ところが、すでに3000台以上の予約が入っており、その計画も上方修正が必要になっているという。
どんなごみ箱なのか。最大の特長は、ごみの体積を約3分の1に“圧縮”する機能だ。なぜ、その機能が日本の消費者の心をつかんだのか。Joseph Josephの日本法人社長、安藤二朗氏に話を聞いた。
たくさん買い物をしたり、贈り物をもらったり、引っ越しをしたりすると、紙のごみが増えてしまう。資源ごみとして出せないものはごみ箱に押し込むしかないが、それにも限界がある。入らなかった分は、収集日まで家の中に置いておかなければならない。そんな経験がある人は多いだろう。
「ごみ箱の外に出てしまうごみをなくし、家の中をきれいに保つこと。それがクラッシュボックスの狙いです」と、安藤氏は説明する。
ごみを圧縮する方法は、ごみ箱の手前にあるレバーを起こし、そのまま下に押し込むだけ。レバーを押すと、サイドからプレートが引き出されて、ごみを上からまっすぐ押し込むことができる。内側にあるレールに沿ってレバーが動くため、垂直に力が伝わる。ごみが手に触れることもない。ごみ箱の側面と下部には小さな穴があり、そこから空気を逃がす構造だ。また、ごみ袋の口を巻き込みながらレバーを押す構造になっているため、中でごみがこぼれたり、袋が引っ張られて破れたりすることも防げる。
ごみ箱は30リットルの容量で、90リットル分のごみを入れることが可能。ふたの裏には脱臭フィルターが付いているが、「生ごみを入れるのはおすすめしていない」という。ごみ袋は、市販や自治体指定の45リットルのものを使用できる。加えて、口の部分にひもが付いている専用袋も販売している。
17年に発売した容量30リットルのステンレスタイプに加えて、8月22日に商品を拡充。一回り小さい容量20リットルのサイズを新たに展開し、本体カラーも2色に広げた。20リットルサイズの価格は、2万2000円〜2万4000円(税別)。
家の中の小さな“困りごと”を解決する機能として、多くの人に受け入れられたようだ。しかし、実は商品の力だけでヒットしたわけではない。テスト販売のときには、全く売れなかったのだ。
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