「税込3万円を超えると売れない。ここがギリギリのラインでした」と安藤氏は振り返る。過去に日本で販売したごみ箱の価格は3万5000円〜5万円で、年間100台ほどしか売れなかった。その経験から、クラッシュボックスの価格は税込3万円以内に抑えられるように英国の本社と交渉。「年間4000台を売る」と説得したという。
そして、希望通りの価格での販売が実現することになったが、本格販売の前に実施した先行販売では全く売れなかった。
「百貨店や雑貨店の売り場では、ごみ箱の商品はただ並べて置いてあるだけのことが多いです。しかし、クラッシュボックスの機能はそれでは伝わらない。外から見ただけでは機能が分からないのです」
これでは良さを理解してもらえない。危機感を持った安藤氏は、機能を分かりやすく伝える“見せ方”を考え、販売店に提案した。
店頭で商品を選んでいる人に一目で機能を分かってもらう仕掛けとして、まず思い浮かんだのが「実演」だ。売り場で実演してもらうため、ごみ箱の側面の一部を切り取って、その部分に透明な板を取り付けた「中が見えるごみ箱」を制作。ごみが圧縮される様子が一目で分かり、その場で実際に試すこともできる。また、使用している様子を紹介する動画を流すためのディスプレイも制作。商品の横に置いてもらった。
高額であることから、当初は販売店側も積極的ではなかったという。しかし、最初から一緒に取り組んでくれた熊本県の百貨店で、「1カ月で60台売れた」ことがうわさになり、積極的に販売に取り組む店舗が増加。メディアでの露出も増えていった。
「熊本の店では、“売り上げをつくる取り組み”の一環として取り入れてもらえました。メーカー側から売るためのチャンスをつくって提供していけば、店舗でも力を入れて販売してもらえます」と安藤氏は振り返る。
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