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お客様への“努力”を減らすには、どうすればいいのかロイヤリティーの高め方(4/4 ページ)

» 2018年09月20日 07時51分 公開
[権田和士ITmedia]
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Webサイトを改善する3つのポイント

 ルールの1つ目は、言葉を単純化することである。単純化とは易しい言葉を使うのではなく、オンラインで大半の顧客がするように、一読すれば理解できるよう情報を読みやすくするということだ。そのためには、複雑な単語を取り除いたり、長い文を短くしたりする必要がある。

 ルールの2つ目は、検索結果ゼロを減らすことである。まず顧客がよく検索するのにレスポンスがないものと、関連性が低い検索項目のリストを見直す。例えば、顧客がクルージングにスーツケースは何個持ち込めるのだろうと思って「スーツケース」と入力すると、検索結果はゼロだった。すると顧客はセルフサービスは質が悪いと結論を下し、担当者に直接電話を掛けるしかないと考える。

 しかし、もし顧客が「手荷物」(旅行業界でより一般的に使われる用語)で検索していたら、正しい答えにたどり着くことができた。検索ワードを顧客に分かりやすい検索語に入れ替えコーディングし直すだけで、こうした検索結果ゼロの頻度を激減させることができる。

 ルールの3つ目は、関連情報をチャンキングすることだ。チャンキングとは、関連する情報をまとめ、他のテキストと間隔を空けることを指し、それによって顧客はより簡単に内容に目を通せるようになる。以前同社のサービスページやFAQには内容がぎっしり詰まっていたため、顧客は混乱していた。情報の関連付けやスペースをうまく使うことで、オンラインで情報に目を通しやすくなり問題解決のための正しいセクションを見つけやすくなった。

 以上、顧客努力の軽減について具体的アプローチをいくつか紹介したが、これらは一朝一夕で成し遂げられるものではない。改善策を講じる際に共通して言えることは、顧客努力をできるだけ軽くする第一歩は、顧客努力の大きさを測定し、問題点を明らかにすることである。「顧客努力指標(CES)」とは、問題を解決してもらうために顧客がとらなければならなかった行動を顧客がどの程度大変に感じたかを測定した指標である。こうした指標を導入し、定点観測していくことも効果的だろう。

著者プロフィール:権田和士

 リブ・コンサルティング常務取締役。「100年後の世界を良くする会社を増やす」という企業ミッションの元、急成長企業の経営コンサルティングを行っている。顧客の業績成果に徹底的にこだわるコンサルティングスタイルによって数多くの企業を上場に導いている。早稲田大学商学部、ミシガン大学MBA卒。書籍『おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係』監訳者。


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