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» 2018年09月25日 06時45分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:豊田自工会会長モノ申す 日本経済をダメにする税制 (4/4)

[池田直渡,ITmedia]
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代替財源の矛盾

 さて、こうして総額の面からも、論理的側面からも公平性の面からも異常なことになっている自動車関連税だが、この議論を始めると必ず出てくるのは「では、代替財源はどうするのか?」という話だ。

 これはスタート地点が根本的におかしい。論拠のない税を徴収しておいて、それに廃止を求める側がなぜ代替財源を一緒に提出しなくてはならないのか? 多分この話には野党の反対が常に対案がない話と混同されているのだと思う。

 例えば、源泉徴収に対して行われる年末調整の還付に代替財源を求めることは妥当なのか? 税の妥当性の話と政府の税収不足は別の話である。

 そもそも税収不足の話をするならば、自動車関連税の減税分だけに代替財源を求めても何の解決にもならない。日本の政府予算がざっと100兆円、対する税収が60兆円で、不足は40兆円である。

 このプライマリーバランスのギャップを「公平性や論理性より現実的な財政のつじつまこそが優先」と考えて取りやすい自動車関連税からまかなおうとするならば、自動車取得税を1台あたり800万円にすればつり合う計算になる。ただし、これまで通り年間500万台の新車が増税後も売れるならばだ。

100年に1度の改革と変わらない税制

 豊田会長は言う。

 「コネクティッド(Conected)、自動化(Autonomous)、シェアリング(Shared)、電動化(Electric)のいわゆるCASEと呼ばれる新技術の登場により、自動車の概念が大きく変わり、私たちの競争の相手もルールも大きく変化をして参ります。100年に1度と言われるこの変化は従来にない大きさとスピードで私たちに変革を迫っています。海外に目を向けますとこれらをチャンスとして捉え、中国をはじめとする各国は自動車政策を大きく変更し、新しいモビリティ社会をリードすべく、積極的に動き出しています。

 今私たちに問われているのは大きく変化する世界の中で日本の自動車産業はどう存在感を示していくのか、日本のものづくりの最後の砦として、競争力を維持し、雇用を守り続けられるか、そういうことだと認識しています。今回私が申し上げたいのは、自動車並びに自動車産業のあり方が大きく変わろうとしている時代に、従来の延長線上で自動車税制を議論していては競争力、雇用維持力のある自動車産業であり続けるのは難しくなる一方だということであります。日本の自動車ユーザーが世界一高いレベルの税金を負担しているという事実を踏まえ、今年こそ抜本的な税制改正に取り組んでいきたいと思っております」

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

 →メールマガジン「モータージャーナル」


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