自動車関連税が高額なことはこれまで述べた通りだが、その課税根拠はどうなのか?
この中で自動車取得税と自動車重量税は本来受益者負担の考え方の下、道路整備の原資として成立した税である。しかし、09年にはこれが一般財源化され、使途が自由になった。
自由になったということは、道路整備は一段落したということであり、本来の受益者負担の趣旨からすれば廃止すべきである。しかし、一段落どころか、現実には本来の目的であるはずの道路整備が追いつかず老朽化が加速中という状況と付き合わせれば、税の使い込みとしか言いようがない。
特に自動車取得税は購入時の課税であり、かつてぜいたく品にのみかけられた物品税の残滓(ざんし)だ。物品税は廃止となり、原則すべての物品・サービス購入に課税する消費税に移行した経緯から考えれば、自動車取得税と消費税は税根拠が同じで、明らかな二重課税である。表にはないが、揮発油税に消費税がかかる燃料の課税も長らく二重課税と指摘を受けながら一向に改まる気配がない。
この話をすると「エコカー減税で我田引水をしておいていまさらか」という声が出るが、そもそも論拠がない税や創立趣旨とは目的が異なる税が減税されているわけで、むしろエコカー減税で多少なりとも問題が減少していると見るべきだろう。
お堅い話をすれば、税とは国が強制的に個人の財産権を侵害できる制度である。公共の福祉を前提として、これが妥当とみなされている。であれば、税の根拠は極めて大事だ。課税根拠をないがしろにして良いことになれば、何とでも理由をつけて個人の財産権を侵害できてしまう。
人の生活を維持する最低単位が家庭であり、その家庭を守るために国はある。国は人の生活を守るためにあるのであって、だから国も税制度も尊重される。そして国連の定める国の成立条件には「固有の国民」という項目がある。人があっての国であって、原則的には国のための人ではない。財産権を侵害するデタラメな課税根拠はあってはならない。
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