なぜこんなことが平気でできたのかというと、彼らが男性のことを無意識に「奴隷以下」の扱いしていたからだ。FC本部やエリアマネージャーにとって、コンビニオーナーは「頑張れ、頑張れ」と尻を叩く「奴隷」である。ならば、その下で働く従業員がどんな存在だったのかは説明の必要もあるまい。
このようにフランチャイズシステムを「奴隷制度」だと捉えると、変態セブンが長年放置されてきたことも説明がつく。本部にとってセブンオーナーという「奴隷」に求めるのは、ドミナント戦略の「駒」として自分の持ち場をしっかりと死守してくれることだ。それさえやってくれていれば、「奇行」や「セクハラ」のクレームが多少あっても、それほど大きな問題ではなかったのではないか。
企業の危機にアドバイスをするという仕事柄、変態セブンのようにモラルが壊れてしまった人や、その類の話はよく耳にすることが多い。これまでの経験では、こういう人が現場に登場するときは、組織やビジネスモデルが退っ引きならない危機が迫っているという印象だ。
例えば、かつて隆盛を極めたサラ金大手・武富士では崩壊直前、現場の人間が債務者リストを持ち出すというモラルハザートが横行した。最近でも「宅配クライシス」と大騒ぎになる前は、佐川急便のドライバーが突然ブチ切れて、運んでいた荷物を執拗(しつよう)に蹴り飛ばす衝撃映像が流れた。
組織やビジネスモデルの危機は、現場の壊れっぷりから分かるものなのだ。
セブンも少し前、店員が女性客に対して「温めますか?」と聞いたところ、「うん」と答えたことが態度が悪いと激高し、「お願いしますとか言うのが当たり前だろうが」と説教をする動画が公開され、大きな話題となった。
それはお店の人をわざと怒らせておもしろ動画をあげる風潮が、みたいなことを言う人もいる。確かにそういうくだらないことをする人たちがいるのも事実だが、コンビニの現場が危機的状況にあることは、業界の一角をなすファミマの澤田貴司社長も認めている。
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