巨人の高橋由伸監督が、古巣と「絶縁」する日は来るのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2018年10月05日 07時30分 公開
[臼北信行ITmedia]

 後味の悪さだけが際立った。巨人の高橋由伸監督が今季限りで辞任することになった。10月3日に東京都内の球団事務所で各メディアの取材に応じた山口寿一オーナーが、高橋監督から成績不振の責任を取る形で辞任の申し入れがあったことを公表。今季が3年契約の最終年だった高橋監督に対し、山口オーナーは来季続投を要請する意向を口にしていただけに強く慰留したものの本人の意思が固いことから了承したという。

 しかし、これはあくまでも個人的な見解だが、「建前」のような気がする。3年前の2015年10月、原辰徳前監督が退任した。現役続行を希望していた当時の高橋由伸外野手に球団側が次期監督就任を強く要請し、外堀を埋める形で渋々了承させる格好となったのだ。半ば強引に引退させて監督になってもらった経緯があるにもかかわらず、成績不振だからといって“ポイ捨て”するような格好になれば世間から何を言われるか分からない。こういう流れは何となく想像がつく。

 「球団上層部の本音は(由伸に)さっさとやめてほしかったが、それは口が裂けても言えない。だから一応続投させることはアピールしておきながら、心のどこかで辞表の提出を待ち望んでいたのではないだろうか。いくら続投と言われても、これだけ負けが込めば由伸もさすがに辞める覚悟を固めるはず。『本人が辞表を持ってきたので引き留めたけどダメでした』という理由があれば、世間から突っ込まれずに済む。そう考えていたのではないか」

巨人の高橋由伸監督が今季限りで辞任することになったが、後味の悪さが残る(写真提供:ゲッティイメージズ)

 もちろん、これはあくまでも憶測にすぎない。それでも、このように勘繰る関係者は球界内に数多くいる。巨人という特殊な球団の内情をある程度理解している人たちは高橋監督の辞任劇について疑念を向けているのが現実だ。

 とはいえ、高橋監督の手腕については残念ながら能力不足であったことも否めない。今季で球団史上ワーストタイとなる4年連続のV逸、さらに12年ぶりとなるシーズン負け越しなど巨人の低迷は確かに救いようのないレベルにまで達していた。チームがVから遠ざかって勝てないばかりか、消化不良の試合が続く。高橋監督の采配面にも目立った戦術や起用法は就任3シーズンの中でほとんど見られず、ファンのフラストレーションはたまる一方だった。

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