アルバイト・パートの採用戦略がうまくいったとしても、次から次へと辞めてしまったのでは、人手不足が深刻化する中、現場の人材マネジメントの根本的な問題解決にはなりません。
本記事では、人材マネジメントにおける「フィールドHRサイクル」の「定着」部分に焦点を当て、採用した人材に長く働き続けてもらうために、どのような工夫が必要なのかを見ていきます。
人手不足の今、特にサービス業や運輸業の店舗・営業所では、常にアルバイト・パートが足りず、絶え間なく採用活動を繰り返しているケースが多く見られます。これは、アルバイト・パートが足りず募集をかけるものの、うまく採用が進まないためにどんどん離職者が増える、もしくは採用できたとしても辞められてしまうといった「負のスパイラル」に陥っているためです。
離職される理由を早急に見つけて対処しなければ、ひたすら採用活動を続けるしかありません。「負のスパイラル」からの脱却を目指す定着強化が、根本的な人手不足解消のカギとなるのです。
では、どのようにすればアルバイト・パートの定着を促進することができるのでしょうか。
ひとつの解を挙げるとすれば、「アルバイト・パートとして働くスタッフが働き続けたくなる職場を作ること」だと思います。アルバイト・パートの定着率は、店舗・営業所の雰囲気に左右されるものです。店舗・営業所の雰囲気とは、職場の環境そのものであり、店舗・営業所で働くスタッフが作り出すものでもあります。そのため、それぞれの現場が、それぞれの課題に対策する必要があるのです。
ここからは、具体的にどのような施策を行うべきなのか、職場作りの3つのポイントを説明していきます。
(1)職場におけるバックヤードの環境整備
1つ目のポイントは、「バックヤードの環境整備」です。商業スペースは顧客の目につく場所ですから、どの企業も環境整備に力を入れていることと思います。しかし、アルバイト・パートが利用するバックヤード(休憩室)の環境整備はどうでしょうか。ないがしろにしていませんか。
バックヤードの環境整備はアルバイト・パートの働きやすさに直結すると考えられます。そのため、「いわゆる事務所スペースとは別に、ゆっくりと休憩できるスペースが確保されているか」「空調設備は整っているか」「アルバイト・パート同士の会話が弾むような環境であるか」など、厳しくチェックすることをお勧めしています。バックヤードの状況は、店舗側がアルバイト・パートとして働くスタッフをいかに大事に考えているかを物語っており、そのバックヤードに立ち入った瞬間、アルバイト・パートの方も現場の姿勢を必ず感じ取ります。ですから、着手が後回しになりがちなバックヤードの整備こそ、優先順位を高めるべきです。
リフォームなど大掛かりなことをすぐにしようとする必要はありません。まずはきれいに片付けて掃除するなど、実際にできることから取り組んでみることが大切です。これまで電源コンセントや店舗のWi-Fiサービスの利用を禁止していたのであれば、それを解禁するだけでも、アルバイト・パートの方の満足度は高まるはずです。
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