インタビュー
» 2019年08月08日 05時00分 公開

大前研一大いに吠える!【前編】:大前研一が尊敬した「ウォルト・ディズニーの構想力」――ワニしかいない湿地帯に「ディズニーワールド」を作った (1/7)

大前研一が勉強しない日本人について大いに吠える!

[田中圭太郎,ITmedia]

 大前研一氏が代表を務める株式会社ビジネス・ブレークスルー(BBT)が、今年7月から『リカレントスタートプログラム』を新設した。

 リカレント教育とは「学び直し」のことで、教育と就労を交互に行う教育システムを指す。国家戦略として推進しているヨーロッパの国々に比べると、日本の社会人の学び直しは超低水準にあるという。BBTでは3カ月間の短期集中型でリカレント教育を提供する。

 大前氏は7月6日に行われたプログラム開講記念講演で「日本人はいまこそリカレント教育によって、稼ぐ力をつける必要がある」と訴えた。講演で語られたリカレント教育の必要性を、前編・後編の2回にわたってお伝えする。

photo 大前研一(おおまえ けんいち) (株)ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長。早稲田大学卒業後、東京工業大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て現職。英国エコノミスト誌は、現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカー(故人)やトム・ピーターズが、アジアには大前研一がいるが、ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。新著に『稼ぐ力をつける「リカレント教育」』(プレジデント社)

安倍政権の「リカレント教育」は間違っている

 今日はリカレント教育について私の考えを申し上げます。リカレント教育という言葉は、1968年くらいからスウェーデンで使われ始めました。69年にフランスのベルサイユで開催された第6回ヨーロッパ文部大臣会議において、当時スウェーデンの文部大臣で、のちに首相になったオロフ・パルメ氏がスピーチで触れたことによって、各国から注目されるようになったのです。

 リカレントの意味は、繰り返しです。親が子どもを育てるときに、同じことを何回も繰り返して言いますよね。これもリカレントです。人生というのは、あらゆる時点において学び直しを常に続けていくことが必要です。これを10年、20年続けていくと世の中が怖くなくなります。なぜかというと、自分で答えを見つける方法が分かるようになるからです。

 日本でも最近になってリカレント教育という言葉を耳にするようになりました。2017年11月には、首相官邸で開かれた「人生100年時代構想会議」の席上で、安倍晋三首相が「人生100年時代を見据え、その鍵であるリカレント教育の拡充を検討する」と宣言しました。

 しかし、安倍首相がこの発言で使っているリカレント教育は、本来の意味と異なります。超高齢化社会で年金が払えなくなるから、年金の支払いを70歳まで伸ばして、それまで稼げるように55歳からリカレント教育をしよう、と言い始めたわけです。これは政府が超ずるい(笑)。そうではなくて、誰もがいまから学び直し、稼ぐ力をつけていくことがリカレント教育だと私は考えています。

photo 産業ごとに異なるリカレント教育の必要性(以下、資料の出典はBBT大学総合研究所)
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