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大前研一が尊敬した「ウォルト・ディズニーの構想力」――ワニしかいない湿地帯に「ディズニーワールド」を作った大前研一大いに吠える!【前編】(4/7 ページ)

» 2019年08月08日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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日本の社会人の学び直しはOECDで最低

 日本でリカレント教育が必要な理由をもう一つ挙げると、日本では学び直す社会人が、世界に比べて圧倒的に少ないことです。この図は25歳以上の「学士」課程への入学者の割合を、国際比較したものです。

photo 文部科学省「高等教育の将来構想に関する参考資料」より

 日本は2.5%で、ベルギーと並んでOECD(経済協力開発機構)の中で最低です。平均は16.6%。最も割合が高いスイスは3人に1人がもう一回学び直しています。こういう状況です。

 日本で学び直しが進まない原因には、学び直すことを考えている人が少ないことと、やりたくてもなかなかできないケースの両方があると考えられます。

 学び直すことを考えないのは、企業の社員教育に問題があるからだと思います。日本では先輩が後輩に社員教育をすることが、いまだに当たり前だと考えられていますよね。これは超不幸です。いままでの古いやり方を、フレッシュで何にもとらわれていない若い社員に教えてしまったら、会社は変わりません。でもこのやり方が正しいと考えている企業は多いのです。だから学び直しをしないのです。

 やりたいのにできないケースは、大学の側に問題があります。大学で学び直そうと思っても、大学の先生は昔と同じ講義をやっているので、大学に戻っても意味がない、と思ってしまいます。大学が戻ってきてくれた人に何を教えられるのか、定かではありません。大学でも、教員ではなく富士通やNECといった企業の現役の社員が教えれば、いろいろなことが学べると思います。いまのままでは、授業料も高いし、時間もない中で、25年前に聞いた話を思い出すだけになってしまいます。これではしようがないですよね。

 そうは言っても、学び直しをしない日本人に、本当にこのまま学ばなくていいのかと私は問いたいと思います。あなたがコンピュータに置き換えられて、あと10年たたないうちに役に立たない人間になりますよと言われたら、どうしますか。少しはシャキッとするのではないでしょうか。

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