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大前研一が尊敬した「ウォルト・ディズニーの構想力」――ワニしかいない湿地帯に「ディズニーワールド」を作った大前研一大いに吠える!【前編】(2/7 ページ)

» 2019年08月08日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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このままでは日本人は「劣等世界市民」になる

 では、なぜいまリカレント教育が必要なのかというと、このままでは日本人は間違いなく今世紀中に「劣等世界市民」になってしまうからです。

 2045年くらいには、人工知能が人類の知能を超える転換点、シンギュラリティが起きると予測されています。それ以降は人間が従来やってきたような定型的な作業は、コンピュータの方がディープラーニングでうまくできるようになり、人間がやる仕事が大幅に減ります。

 2045年というと、いまから25年先。人間が働くピークを40歳として、25年引くと15歳です。現在中学生から高校生くらいの人たちは、コンピュータに置き換えられない人材になるように、勉強する必要があります。

 ところが、中央教育審議会が20年ぶりに出した学習指導要領を見ると、これはもう悲劇です。コンピュータに置き換えられないスキルをどうやって勉強するかについては一つも書かれていません。シンギュラリティという言葉も出てきません。いまの中学・高校の授業で気づいた不具合を直そうとするだけです。

 新しい指導要領は中学では再来年から、高校では3年後から順次導入され、以後20年間も同じものが使われます。文部科学省はいまの中学生をコンピュータに負ける、間違いなく負けるように育てようとしているのです。

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