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大前研一が尊敬した「ウォルト・ディズニーの構想力」――ワニしかいない湿地帯に「ディズニーワールド」を作った大前研一大いに吠える!【前編】(5/7 ページ)

» 2019年08月08日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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必要なのは「構想力」を学ぶこと

 コンピュータに置き換えられない人材になるためには、どんなことを学べばいいと思いますか。私が必要だと考えているのは構想力です。

 0から1を構想する力は、コンピュータが苦手なことです。コンピュータは0.7を0.75にすることや、元となるデータがあって、データマイニングをして次の解を見つけるのは得意ですけれども、0を1にはできません。

 しかし、構想力を教えるプログラムは、日本の教育にはどこを探してもありません。私は構想力というのは、非常に重要なコンセプトだと思っています。

 私の場合は、世界中でこの人は構想力があるな、という人に会って話を聞いています。行って話を聞く。その人に会うと、やっぱりいろいろな話が聞けます。

 例えばウィスラーというスキー場がカナダにあります。北米一のスキー場です。その構想を作ったのはどんな人なのかと思い、調べてみました。ノルウェーの営林署で働いたのちに、カナダに移住したフランツ・ヴィルヘルムセンという人です。もう引退していましたけれど、バンクーバーの自宅に話を聞きに行きました。

 ヴィルヘルムセン氏は、カナダでも営林署で働いていました。ある時、山を見て、スキー場が目に浮かんだそうです。これはすごいスキー場になると思って、自分で木材を運びながらリフトを作りました。

 話を聞いて驚いたのは、そこはバンクーバーのゴミ溜めだったそうです。谷にゴミを入れていたんですね。ヴィルヘルムセン氏はそれ知って、この場所を開発しようと思いました。なぜかというと、雪の深いところなので、ゴミ溜めの上をカバーして、その上に骨組みを作れば、雪に煩わされない駐車場が地下にできます。そして、その上にホテルをつくればいいと思ったそうです。

 その結果、ゴミ溜めだった場所はいまではショッピングモールやホテルが立ち並ぶリゾート地になっています。おーっという感じですね。こういう話は、実際に会わないと聞けません。最初のリフトを自分で作り、ゴミ溜めの上に駐車場を作り、さらにその上にホテルを作るというのは、発想力と構想力がなければできないですね。

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