ウェンディーズ×ファーストキッチン イマイチだった両者のコラボ店が人気の理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2018年10月23日 11時10分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 「ファーストキッチン」と「ウェンディーズ」がコラボした、「ファーストキッチン・ウェンディーズ」という、ダブルブランドのユニークなハンバーガーチェーンが店舗数を急増させている。東京を中心に「ファーストキッチン」の業態転換を進め、40店にまで増えた(2018年9月末時点)。

 ハンバーガー業界のみならず、外食全体でもほとんど類を見ないこの同業種コラボの1号店が誕生したのは、15年3月。六本木交差点近くにある「ファーストキッチン 六本木店」(東京・港)を業態転換した。同店の売り上げが転換前の1.5倍となり、両チェーンはコラボ効果を確信。同年8月には、上野浅草口店をオープンし、この店でも成果を上げた。この試みは次々と成功を重ね、わずか3年で40店に増えた。こういったハンバーガーチェーンは他に存在しない。ニューヨークから上陸して話題をさらった「シェイクシャック」、ロサンゼルスから上陸した「ウマミバーガー」など、ポストマクドナルドといわれる新興のグルメハンバーガーチェーンをはるかに上回る成長を遂げている。

photo 18年9月にオープンした「ウェンディーズ・ファーストキッチン原宿竹下通り店」

パッとしなかったチェーンが組んだら急成長

 この快進撃の背景には何があるのだろうか。16年6月にウェンディーズの日本法人「ウェンディーズ・ジャパン」が、サントリーホールディングスよりファーストキッチンを買収。立地を選びながら、全国に130店ほどあるファーストキッチンの店舗を業態転換してきた。転換した店で失敗例は皆無とのことだ。想定する顧客単価はランチが800円、ディナーが1200円となっている。

 ウェンディーズは11年12月、表参道に再上陸1号店をオープンしたものの、期待されたわりには店舗数が伸びず、表参道店から撤退。ついには新宿区曙町に直営店を1店構えるのみという寂しい状況に追い込まれていた。

 一方のファーストキッチンも、業界で4〜5位あたりの地位を確保していたものの、伸び悩んでいるという印象を拭えなかった。同規模のチェーンで新商品の企画力に勝る「フレッシュネスバーガー」に押されつつあり、存在感も薄れていた。

 では、パッとしなかったウェンディーズと、パッとしなかったファーストキッチンが組んだら、どうして急成長を遂げるチェーンになったのか。その謎に迫ってみたい。

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