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» 2018年10月25日 08時00分 公開

中国公安も採用:企業価値5000億円超 ホンダが頼る「顔認証AIベンチャー」香港トップを直撃 (1/4)

「人間の目を超える精度」の顔認証AI技術を持つベンチャー「センスタイム」の香港トップにインタビュー。自動運転の進化に向けて、ホンダもその技術に頼る「次代のITジャイアント」の実像に迫る。

[武田信晃,ITmedia]

 2014年、あるAI(人工知能)ベンチャー企業が、「人間の目を超える精度」の顔認証AI技術を開発した。その企業は、香港に拠点を持つ商湯科技(SenseTime、センスタイム)だ。日本では10代に人気の自撮りアプリ「SNOW」の顔認証技術を手掛けていることや、ホンダと自動運転用のAI技術を共同開発していることで知られている。 企業価値1100億円を超える未上場企業「ユニコーン」の1つで、次の阿里巴巴(Alibaba、アリババ)や騰訊(Tencent、テンセント)の発掘を狙う投資家から熱視線を浴びているのだ。

phot センスタイムの顔認証AIは中国の公安警察にも採用され、車のナンバーや属性を瞬時に把握できる(センスタイムジャパンのWebサイトより)

 センスタイムは顔認証技術だけでなく、あらゆる産業に応用可能なAIの基盤を作っていて、自らを「AIのプラットフォーマー」と呼ぶほど幅広い顧客を持つ。雲南省の公安庁など、公安当局が運用する監視システムにも使われている。中国では大都市の主要な交差点にカメラを設置し、市民の行動を監視しているのは周知の通りだ。同社が開発する監視システムは、中国社会を支えるインフラとして機能している。また、その過程で進化させた技術は、自動運転用のカメラなど「視覚」を開発する上でも不可欠だ。

 今回、香港本社でビジネス全体を統括している尚海龍(シャン ハイロン)マネジング・ディレクターがインタビューに応じた。同氏には、資金調達の状況や現在の事業内容を聞き、ディープラーニング(深層学習)やAI技術で日本をしのぐ「次代のITジャイアント」の実像に迫った。

phot 尚海龍(シャン ハイロン) 中国生まれ。大学卒業後、「中国移動国際(China Mobile International、チャイナモバイル・インターナショナル)」で政府・法人関係専門部署のディレクターを経て、「中国聯通国際(CHINA UNICOM GLOBAL、チャイナユニコム・グローバル)」ではインターナショナルB2Bビジネス部の副総裁を務めるなど、移動通信技術(ICT)業界で10年以上の経験を積む。その経歴が買われ、2016年12月にセンスタイムに入社、同社ビジネス全体の運営を担当する。清華大学ではエグゼクティブMBA(EMBA)を取得した

世界中の投資家が注目

――日本のビジネス誌に「第2のアリババ、テンセントを発掘する世界中の投資家から熱い視線を受けている」と書かれていましたが、現在どの程度の資金を調達しているのでしょうか?

 これまでに合計16億ドル以上の資金を調達しました。企業価値は45億ドル(約5000億円)と評価されています。当社は日本でいう「大学発ベンチャー」です。最初は、コンピュータサイエンス分野におけるアジアのトップ校、香港中文大学の湯曉鴎教授が発表した、ディープラーニングを活用した画像認識の学術論文が話題となりました。顔認証において、コンピュータの精度が人間の能力を上回ったという研究結果は世界的なニュースだったのです。そのニュースを知った中国の投資家やベンチャーキャピタルは香港に飛んできました。湯教授が当社の説明をしたところ、その場で資金提供が決まったそうです。

――どんな企業に、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?

 スマートフォンメーカーの欧珀(OPPO、オッポ)やインターネット企業の微博(Weibo、ウェイボー)、世界最大の携帯電話事業者である中国移動(China Mobile、チャイナモバイル)、中国最大の家電量販店の蘇寧(Suning、スニン)など多岐にわたっており、400社以上の顧客を抱えています。

 例えば、蘇寧に対しては会員管理や支払認証、AIを駆使しての顧客分析などを通し、業務効率化を支援しているのです。また海航集団には、顔認証技術を提供することで顧客の本人確認を容易にし、営業コストの低減を図っています。

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