――差別化を図るためには人材が重要ですが、現在の従業員数はどのくらいですか? 博士号保有者が多数在籍していると聞きますが、どのような人たちが働いているのですか?
全世界の従業員は2000人ほどです。そのうち半数以上が研究開発(R&D)に携わっています。博士号保有者は150人ほどいまして、ディープラーニングやコンピュータビジョンの知見を持つ元大学教授も20人ほど在籍しています。米マサチューセッツ工科大学(MIT)とも密接な協力関係にあります。
日本法人社長の勞はオムロンで画像認識の技術顧問を20年間にわたって担当した人物です。人材確保のために、通常の募集以外にもIT企業やソリューション系の会社に勤めている人をヘッドハンティングしています。
――日本では「大量の顔データ」を取得することは認められていませんが、中国政府は認めています。その差が、技術革新にも差を生み出しているようにも見えますが、どのように思われますか?
顔認証というのは、私たちが持つ技術の1つに過ぎません。私たちはあくまでプラットフォーマーだと考えておりますので、顔を撮影することや、そのデータをどのように活用するかは、まさに「お客さま次第」なのです。繰り返しになりますが、アルゴリズムを常にアップデートするのが私たちの最も重要な仕事なのです。
以上が尚ディレクターへのインタビュー内容だ。
センスタイムのオフィスに入ると、商品を説明するための大型のディスプレイが壁沿いにずらりと並び、そのすぐ横では従業員が働いている。オフィスが手狭になるほど、急成長しているのだ。
新しいオフィスに引っ越す直前だったこともあり、広報担当者は「次回、訪れるときは、きれいなショールームも完備しています」と話していた。成長の速度がどれだけ速いかを表しているともいえよう。
ただ、それだけ成長しても「関心があるのは経営よりもエンジニアリング」という雰囲気があった。創業者の湯教授や、その教授の教え子で共同創業者の徐立氏も技術志向が強く、「お金(経営)よりも技術開発に関心がある」と、担当者は話す。しかし、企業が大きくなればなるほど、経営トップは人材育成や経営についても考える必要が出てくる。ホンダも、創業者の本田宗一郎の右腕に、経営に長けた藤沢武夫という名参謀がいたからこそ、倒産せずに済み、日本を代表する大企業になった。
センスタイムの従業員の平均年齢は27歳と若い。豊富なビジネス経験を持っている尚ディレクターはマネジメントサイドから会社全体を支える適任者となれるだろうか。
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