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» 2018年10月26日 07時30分 公開

すみだ水族館に潜入:58羽のペンギンの名前を瞬時に呼ぶ、水族館飼育員ワザの秘密 (1/6)

すみだ水族館のペンギンがいるプールでは、1日3回、飼育スタッフたちの元気な声が響く。餌やりの時間だ。58羽いるペンギンの名前を声に出し、連携して動くスタッフたちに、思わず目を奪われる。どのようにあの技を身に付けているのだろうか。

[加納由希絵,ITmedia]

 「あんこ、イワシ食べたー!」

 「まつり、今日まだ1匹しか食べてなーい!」

 「ショコラが横取りしたー!」

 東京スカイツリータウン内にある、すみだ水族館(東京都墨田区)。その中心部分にあるペンギンのプール型水槽では、1日3回、張りのある声が響く。飼育スタッフが58羽のペンギンたちに餌をあげる時間だ。

 数人の飼育スタッフたちの動きと声に、来館者がどんどん引き寄せられていく。水槽の前と、それを少し上から見下ろすことができる通路に人が集まってくる。

 ペンギンたちに餌を食べさせる動きは鮮やかだ。魚をあげる人、それをチェックする人、ペンギンの動きを見て伝える人……と役割分担して動く。どのペンギンが何匹食べたのか、瞬時に判断して声を出す。

 見ている客からは「すごいね」「どうして名前が分かるんだろう」とささやく声が聞こえる。飼育スタッフとペンギンたちを見ていて飽きることがない。約15分間、来館者たちの視線をくぎ付けにしていた。

 どうやってあのような技を身に付けているのだろうか。その技術の秘密を探るため、すみだ水族館を訪れた。

photo すみだ水族館で見ることができるペンギンの餌やり。飼育スタッフたちの動きに圧倒される

「あげればいい」ではない、餌やりの難しさに直面

 話を聞いたのは、笑顔が印象的な飼育スタッフの福谷彩香さん(22)。すみだ水族館を運営するオリックス水族館の入社3年目社員だ。入社以来、ペンギンとオットセイを飼育する「海獣担当」として勤務している。

 福谷さんの1日は、動物たちのご飯を準備する「調餌(ちょうじ)」から始まる。それぞれの動物に合わせて、解凍した魚を切ったり、量を調整したりする。そして、給餌は1日3回。その合間に、1時間に1回、水槽や岩場の掃除をする。

photo すみだ水族館の飼育スタッフとして働く福谷彩香さん

 子どものころから水族館によく行っていたという福谷さん。イルカのトレーナーに憧れていたこともあった。だが、動きや見た目のかわいさ、泳ぐ姿のかっこよさから、最も好きになったのがペンギンだった。

 福谷さんもまた、すみだ水族館のペンギンの餌やりに感動した一人だ。「大好きなペンギンの魅力を、より多くの人に伝えられる環境だと思った」ことから、同館の飼育スタッフになろうと決めたという。

 ところが、いざ入社すると、乗り越えなければならない壁が次々と現れた。「ただ餌をあげればいいわけではなかった」。憧れだったペンギンの餌やりを一人前にこなせるようになるまでには、1年半もかかったという。

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