ウィーン、ウィーン、ガシャン、ガシャン、ガタガタガタ――。
機械音が絶え間なく鳴り響き、タバコ葉の濃いにおいが立ち込める。さまざまな機械がフル稼働し、葉を切り刻んだり混ぜ合わせたりしている。ユニフォーム姿の従業員が作業を監督し、不具合が起こらないよう見守っている。自動運転ロボットが内部を移動し、箱などを運搬している。
ここは、スイスの地方都市ヌーシャテルにある、大手たばこメーカーPhilip Morris International(PMI)が運営するたばこ工場。新型端末が登場したばかりの「IQOS(アイコス)」用たばこ(ヒートスティック)の一部はこの工場で作られ、世界各国に発送されているのだ。
ヌーシャテルは、ジュネーブやチューリッヒといったスイスの大都市から電車で1〜2時間の場所にある。工場長のガブリエル・パナイテス氏は、工場がここにある理由を「世界各国の多様な人材を集め、イノベーションを起こしやすくするため。スイスが伝統的に精密機器の製造に強いことも踏まえた」と話す。
ヒートスティックはコンビニなど身近な場所で手に入るし、自身や家族、友人がアイコスユーザーだという人もいるだろう。だが、その1本1本がどんな経緯でつくられているのか、知る機会はあまりない。
そこで今回、ITmedia ビジネスオンラインはPMIに許可を得て内部を取材した。だが秘密保持の都合上、外観を除く写真撮影がほぼ禁じられていたため、一部を公式画像などで代替することを読者諸兄にはお許し願いたい。こうした側面からも、競合他社に工程が漏れることが大打撃につながりかねない、たばこ業界の厳しさがうかがえた。
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