月旅行だけではない、話題の宇宙の旅、三大メニューとは?宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)

» 2018年10月28日 09時15分 公開

 10月18日、米SpaceXのイーロン・マスクCEOが本社で会見を開き、2023年に同社が計画をする大型ロケットBFRによる世界初の商業月周回旅行の乗客として、日本のIT企業、ZOZOのCEOを務める前澤友作氏と契約したことを発表した。

 今回は、注目を集める宇宙旅行の現状を紹介したい。

民間人が月に旅行する日も近い!?(写真提供:ゲッティイメージズ) 民間人が月に旅行する日も近い!?(写真提供:ゲッティイメージズ)

宇宙に行ったことのある人は556人

 話題に上がることの多い宇宙旅行であるが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のWebサイトによると18年6月7日現在で、過去宇宙に行ったことのある人(高度100kmを超えた人)の人数は556人とされている。国別では米国が最も多く332人、次にロシア(旧ソ連)が121人、日本は12人と世界3位だ。

 もちろん、ほとんどは各国のプロフェッショナル宇宙飛行士であり、宇宙に行ったことのある民間人は後述するように国際宇宙ステーションに滞在したことのある数人にすぎない。他方で、近年は宇宙旅行の実現を目指す民間企業が多数出てきており、その始まりはいつかと注目が高まりつつある。

 宇宙旅行といっても3つのセグメントが存在する。1つ目が高度100kmまでの弾道宇宙旅行と言われるもの。2つ目が国際宇宙ステーションや将来的な宇宙ホテルに滞在する宇宙旅行。そして3つ目が、今回SpaceXが発表した月のように遠くへ行く宇宙旅行だ。なお、地球と月は38万kmも離れている。

弾道宇宙旅行:19年有人試験飛行、価格は20万〜30万ドル?

 1つ目の弾道宇宙旅行に関しては、2004年に米Xプライズ財団による賞金コンテストで、スケールド・コンポジッツ社が民間企業として初めて高度100kmの宇宙空間に到達したことで注目を集めたのが始まりだ。その後リチャード・ブランソン氏率いる英Virgin Groupや、米Amazonの創業者として著名なジェフ・ベゾス氏が率いる米Blue Originが取り組みを進めている。

 Blue Originはベゾス氏の掲げる「数百万人が宇宙で暮らし、働く時代」を目指して、大型ロケットの「New Glenn」、月面着陸船の「Blue Moon」など人々を宇宙空間に輸送するための手段の開発に注力している。ベゾス氏が「Blue Originにとっての宇宙旅行は、Amazonにとっての本だ」と語っているように、宇宙旅行はキラーアプリケーションになると見ている。

「New Shepard」のフライトプロファイル(出典:Blue Origin) 「New Shepard」のフライトプロファイル(出典:Blue Origin

 現在開発を進めているのが、6人が同時に乗れる垂直離着陸型の有人宇宙船「New Shepard」だ。15年から試験飛行を重ねて、18年7月に9回目の試験飛行を行い、脱出システムの試験に成功、到達高度も118.8kmと過去最高値を記録した。有人の試験飛行に関しては、来年初頭とのコメントも聞こえてくるが、19年からチケット販売され、価格は20万〜30万ドルと言われている。

 他方、Virgin Groupは14年、試験飛行中に事故が起きたが、現在「スペースシップツー」の開発をしている。18年7月に行われた3回目の動力飛行では、50km超まで到達。10月9日にCNBCのインタビューに答えたブランソン氏は、「数カ月以内には自分自身が搭乗して宇宙に行くだろう」とも言っている。来年には始まると何度も言われてきた宇宙旅行だが、有人実証に成功したら大きな前進だ。

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