月旅行だけではない、話題の宇宙の旅、三大メニューとは?宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)

» 2018年10月28日 09時15分 公開
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月旅行:38万kmのカベ

 3つ目がより遠くの宇宙へ訪れる旅行で、上記2つとはまったく異なる世界である。1960年代から70年代に行われたアポロ計画では、国の威信をかけてNASA(米航空宇宙局)が宇宙飛行士を月に送り込み、人類初の月面到達を成し遂げた。それから約50年、今回SpaceXが商業サービスとして月周回旅行を初めて掲げたが、多数の挑戦が待ち受けている。

 すでに国際宇宙ステーションへの物資輸送サービスを行っているSpaceXだが、有人輸送サービスは行ったことはない。国際宇宙ステーションへの米国宇宙飛行士の輸送は他国が行っている。現在NASAとの契約の下で、宇宙飛行士を輸送するための有人宇宙船の開発を行っており、19年1月に無人の実証飛行、同年11月に有人の実証飛行をする予定だ。

 また仮にISSへの有人輸送サービスが実現できたとしても、ISSまでの距離400kmと、月までの距離38万kmは大きく異なる。火星への人類居住を究極の目標にするSpaceXであるが、月に向けた宇宙旅行がどのように実現をしていくか注目だ。

 民間企業だけではない。18年2月に発表されたNASAの計画では22年には月周回軌道上の居住基地建設が始まり、23年には有人月近傍ミッションを計画されており、今回のSpaceXによる商業宇宙旅行の時間軸と重なってくる。

 加えて、搭乗するための事前トレーニングや健康管理なども宇宙旅行実現のためにクリアすべき事項だ。

 このように期待高まる宇宙旅行。19年はさまざまな有人試験飛行の可能性があり、大きなマイルストーンとなる可能性がある。

著者プロフィール

石田 真康(MASAYASU ISHIDA)

A.T. カーニー株式会社 プリンシパル

ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、15年のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。日本初の民間宇宙ビジネスカンファレンスを主催する一般社団法人SPACETIDE共同創業者 兼 代表理事。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。著書に「宇宙ビジネス入門 Newspace革命の全貌」(日経BP社)。

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