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» 2018年11月08日 06時30分 公開

自らをアップデートする理系の生き方池田直渡「週刊モータージャーナル」【番外編】(4/4 ページ)

[池田直渡,ITmedia]
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ブラック排除の世の中で

 さて、現実の話を見てみよう。今や日本のトップランクの企業は、サービス残業は厳密に禁じられている。もちろん業界や企業規模によるグラデーションはあり、いまだに旧態然としたブラック労働がはびこっている会社もあるだろうが、トップ企業にはもうそれは過去の話だ。

 現在の開発スケジュールと、チームスタッフの労働時間を見れば、抱えているプロジェクトを期日までにゴールさせるためにどういう技術者が何人足りないかはメーカー側では分かっている。というか、それが分からないようならばプロジェクトマネジャーは務まらない。

 つまり企業の労働管理が厳しくなった今、法律を順守しようと思えば、こういう技術派遣の会社が人を出すことになる。今後、労働基準法を守る会社が増えれば増えるほど、ニーズが伸びる。そういう分岐点にジェイテックはいる。だからこそ高い技術を持つ即戦力エンジニアを用意していかなくてはならないし、それができればエンジニア派遣の未来は明るい。

 中には新卒のユニークな応募者もいる。「すでにメーカーを一通り回ってきました。このままメーカーに行くと総合技術者になって2〜3年の間はどこに配属されるか分からないのが嫌なんです。御社だったらどこのメーカーのどんな部署に入れますか?」。技術派遣という業種の使い方を把握しきって、うまく使いこなす人もすでに出てきているのだ。

 岩崎氏は言う。「自分に合わなかったら、その職場を退職届を書かずに辞められます。ジェイテックの社員を辞めるわけではないので、職歴に傷が付きません。もうひとつ、自分がやりたいことがはっきり分かっている人は必ずしも多くはないのです。やりたいことがあればその道を、それが分からなければ、丁寧にヒアリングしながら、いろいろなコースを提案できます。それでやってみてダメだった、合わなかったということであれば、『分かった、帰っておいで』と言ってあげますよ」。

 やりたいものが見つからない時に、やりたいことが見つけられる。やりたいものがあるならやりたい仕事にダイレクトで行ける。中長期で見てジャンルそのものがなくなりそうなときに、研修制度を利用して路線変更ができる。それは今、せっかく能力があるのに、労働流動性がないために、もう一度自分の能力を生かして活躍できない人たちで溢れる日本社会に不可欠なものだと思う。

 政府にやらせると、今時ワードやエクセルの研修をやっておしまいだ。何もないよりはましだろうが、仕事が細分化して、マッチングが難しい現代において、誰でも同じ雑なメニューの研修で価値ある能力が身に付くほど甘くはない。

 個人の能力をマネジメントしながら、その能力を保証して、それを必要とする企業に送り出す。そんなやり方は今まさに、この国に求められている働き方改革の1つなのではないだろうか。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

 →メールマガジン「モータージャーナル」


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