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ツナマヨはなぜ“20年無敗”だったのか おにぎりの担当者に聞いた上位6商品はずっと変わらない(2/4 ページ)

» 2018年11月13日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

シーマヨが20年無敗だった理由

 それでは、どんなお客がシーマヨを買っているのだろうか。堤氏によると「20〜30代を中心とした若いお客さまが購入されています。この傾向は販売を開始してから約20年、ずっと続いています」と説明する。20年以上前に発売した当初、おにぎりの具は昆布や梅といった“渋い食材”が主流だったため、「シーマヨは邪道だ」という指摘も社内にあった。しかし、若者の支持を集めるなかで徐々に人気商品に育ち、20年無敗の地位を築くまでになった。

 ローソンが一般人を集めてグループインタビューを実施すると、20〜30代は「濃い味」や「しっかりとした味」のおにぎりを好む傾向にあるという。特に、コンビニをよく利用する30代男性にとって、シーマヨは“ササる”商品なのだ。これが、シーマヨがずっと1位だった大きな要因だと考えられるという。

 堤氏は、シーマヨが20年無敗だった別の理由として、「シーマヨの味に馴染んだお客さまの層が徐々に広がってきたことも考えられる」と説明する。20年前、コンビニでシーマヨを盛んに買っていたお客が、40〜50代になった今も好んで食べるようになったということだ。

 業界の通説では、おにぎりの具にツナを入れて本格的に販売し始めたのはセブン-イレブンだとされている。おにぎりの商品開発担当者が、ツナとマヨネーズをまぜたものを温かいご飯にかけて食べている家族の姿を見て、商品化を思いついたそうだ。それ以来、ツナマヨは大手コンビニチェーンで定番の商品に育った。業界全体で取り上げるようになった結果、不動の地位を築くようになった面もあるかもしれない。

上位6位はほとんど変わっていない

 取材でもう1つ興味深い事実が分かった。それは、ローソンにおいて販売数上位のおにぎりはここ20年間ほとんど変わっていないのである。

 2位と3位を占めるのは常にサケだ。ローソンの場合は、サケの身をほぐした「あらほぐし焼さけ」(140円)と、サケの切り身を入れた「新潟コシヒカリおにぎり 焼さけハラミ」(198円)である。「サケはごはんとの相性が抜群にいい」(堤氏)ことが要因だ。さらに、日本人の朝食シーンにおいて定番のおかずであることも人気を後押ししていると堤氏は見ている。

 4位と5位を占めるのは昆布と梅だ。お客の年代が上がれば上がるほど、食に関して保守的な傾向が強まる。そして、その傾向が顕著に出るのが昆布と梅だという。ローソンが実施したグループインタビューでは「(おにぎり選びで)失敗したくない」とコメントするお客が一定数いるという。

 そして、常に6位なのはめんたいこだ。こちらも、おにぎり選びに保守的な層が「おにぎりはめんたいこ以外食べない」という理由で購入しているとみられる。

 このように、ローソンにおいては常に売れるおにぎりの種類が固定されており、“神6”と呼んでも差し支えない不動の人気を誇っているのだ。

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