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» 2018年11月20日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:「宇宙の謎に迫る国家プロジェクト」に、日本学術会議が猛反発のワケ (3/6)

[窪田順生,ITmedia]

ILC計画を快く思っていない人たち

 なんて話を聞くと、「素晴らしい! 人口減少でいろいろ大変な中で、日本の国際競争力を上げるためにも、東北の復興のためにも、じゃんじゃんやるべきだ!」と鼻息が荒くなる人も少なくないだろうが、このILC計画を快く思っていない方もいらっしゃる。

 一部の科学者の皆さんである。

 活躍する女性の方たちから、「女の敵は女」みたいな話をよく聞くが、こちらもご多分に漏れずというか、同じく科学を探求する方たちの中から、ILC計画にかなり厳しめのダメ出しが出ているのだ。

 その代表的な例が、日本学術会議で行われている「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」だ。

 日本学術会議とは、「我が国の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約84万人の科学者を内外に代表する機関」(Webサイトより)で、国への政策提言や国際活動、科学者間のネットワーク構築などが主な役割だ。

加速器関連分野への波及効果(出典:東北ILC推進協議会)

 ということもあって今年7月、文科省の研究振興局長から、「ILC計画における学術的意義」や「我が国で実施することの国民及び社会に対する意義」などを審議してちょうだいよ、と依頼を受けて、「所見」をまとめているのだが、それがかなり辛口なのだ。

 例えば、11月14日に検討会があったので傍聴したところ、現時点の「案」だという断りはあるものの、ILCに対して以下のような表現がバンバン飛び交っていた。

 「ILC建設を正当化する主たる根拠とはなり得ない」「コンセンサスが形成されている状況にはない」「万が一の事故対策などに関する記述が少ないことは懸念材料」「不確定要素が大きい」

 国際協力の見通しや、予算、運営をしていく上での人材などごもっともな指摘も少なくないものの、現時点で「計画」に過ぎないILCの「意義」を審議するはずが、計画そのものを白紙にしろと言わんばかりの勢いで、「ちゃぶ台返し」なのだ。

 もちろん、あえて「高めの球」を投げた可能性も否めない。この手の検討会を取材するとよく見かけるパターンなのだが、最初にかなりネガティブ方面へ舵(かじ)を切った「案」をドーンとぶちまけてから、議論をしていく中で、両論併記的な角の取れた答申にする、という展開が多々あるからだ。

 ただ、それをさっぴいても、何か恨みでもあるのかというくらい「批判」のクセが強いのだ。

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