出版取次最大手の日本出版販売(日販)と同2位のトーハンはこのほど、物流面での協業の検討を始めたと発表した。出版物の売り上げ減と輸送コストの上昇が続く中で物流効率を維持するのが狙い。協業内容は未定だが、両社の物流拠点を相互活用・統廃合する案を中心に、実現可能性と経済的合理性の観点から着地点を探る。
日販によると、出版物の売り上げは1996年をピークに落ち込みが続き、2017年度は96年の52%にまで縮小。業界全体で物流の単独展開が難しい状況となり、「全国津々浦々にわたる出版物流網をいかに維持するかが喫緊の課題となっている」という。
日販・トーハンは、基本合意書を11月7日付で締結済み。競合同士が手を組むため、今年4月から公正取引委員会に事前相談し、10月に回答を受けたことから締結に至った。協業の開始時期は未定だが「喫緊の課題としてスピード感を持って取り組みたい」(日販広報室)という。
今後は両社から人員を選定し、協業内容を固めるプロジェクトチームを結成し、協業開始に向けて検討を進める。参加者は「現時点では決まっていない」(同)というが、独占禁止法順守の観点から、両社の情報が相互に広がることを防ぐため、限定されたメンバーのみ参加可能とする方針。
このほか、(1)情報遮断に関する社内規定の整備、(2)営業部門の人事交流の制限、(3)協業現場への立ち入り制限、(4)システム面へのアクセス制限――などの情報遮断措置も講じる予定。必要に応じて公正取引委員会への報告・相談も行っていく。
日販は「プロダクトアウトからマーケットインを目指した抜本的な流通改革への新たな一歩となることを目指す」としている。
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