渋谷: 日本の株価は、バブルのときの日経平均高値をいまだに越えていないんです。私たちは、1989年12月のバブル時に日経平均が3万8000円後半をつけましたが、そのときのイメージをいまだに多くの人が引きずっています。そのため、どうせ30年間もの長期投資を行っても増えないだろうなぁというイメージが定着しているのです。
一方で、米国に関して言えば、上下の波はあるものの株価が右肩上がりに上がっています。長期で投資をすればしっかりお金が増えるということを、おじいちゃんやお母さんの投資を見て、子どもたちも自然に理解している。だから株が上がっていくことにあまり疑いがないんですね。感覚的に。
サイトウ: 確かに日本だと株が上がるというのは、アベノミクスのここ数年のイメージですね。ぼくの父が持っていた株も全然もうかってませんでした。
渋谷: 例えば日経平均がずっと上がっている状態だったらどうでしょう? おじいちゃんが投資信託を買っていたら200万円が800万円くらいになっている。それを見て「やっぱり長期投資っていいよね」と家族でそんな話題が出たり、親父が「お前のために毎月3万円ずつ投信を買っている」と言ったりすれば、「それってすごく増えそうだね」という会話に自然になっているはずです。
いま、仮にですが、日経平均が10万円ぐらいになっていたとすれば、長期では株が上昇するということを疑う人はいないのではないかと思いますが、3万円台から一度7500円まで下がって今は2万1000円です。結局「30年くらい持っていても損じゃん」となるわけです。
長期投資という言葉は聞くけれど、日本人にはあまり響かない。それは、そういう背景があるからなんですね。ただ世界的には長期投資は大事なものだと認識されていて日本とは大きなギャップがあります。
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