サイトウ: 世界では長期投資が当たり前なんですね。でもなぜ長期投資がいいんでしょう?
渋谷: 投資には、予想収益率というものがあります。ごく簡単にいえば、この株は来年10%上がりますよねという将来期待のことです。でも突然、リーマンショックのようなことが起こったり、トランプ大統領が何か突拍子のないことをやったりして経済情勢が不安定になると、10%上がるという期待が大きく裏切られることがあります。
株価というものは、そもそも1年間で15%下がったり25%上がったりと大きく価格が動くものです。ではどのくらい動くのかというと、東京証券取引所が発表している統計が参考になります。過去40年、一部上場銘柄全体の1年間の投資収益を算出してみたところ最高の年で+72.1%、最低の年でー24.8%となり、その上下幅はなんと96.9%もあったそうです。では、これが5年、10年、30年という長期になってくるとどうなのかというと、この振れ幅が落ち着いてくることが確認されています。例えば、30年という長期間の年換算の投資収益率を算出すると最高で+12.8%、最低でも+6.8%となりました。このようなことから、長い期間保有していることで収益が安定することが証明されており、長期投資がよいといわれる理由になっています。
直近では一年目の投資期待値は約7%程度の上昇なんですが、実際は当初の85%になってしまうこともあれば125%になることもある。でも時間と共にぶれ幅は少なくなっていき、30年たつと、おおむね年+10%の収益率を中心値として上下のブレがすごく狭くなってくる。つまり長く持つと平均的に10%くらいで増えていくんだよということが言われています。
さらに分かりやすく言うと、リーマンショック前年の2007年に投資を始めた人は1年後にリーマンショックを受けて約61%も下がってしまいました。でもそこから10年間持ち続けていたらプラスになっているんですね。もちろんリーマンショックの直後に投資した人はマイナスを被ることなく上がっているんですが、なにか大きな下落があっても長期間を平均でならすとしっかり増えていくということです。
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