(4)拙速な法制化
グローバルな環境がいくら言われても、言葉の問題だけでないこうした習俗生活における違いへの理解が、今の日本人すべてができるとはとても思えません。だから拙速な法律改正が批判されるのです。
法改正のため法務省が用意したデータがでたらめで、技能実習という名目で、低賃金で働く外国人労働者の失踪理由を転職を匂わせるような「より高い賃金を求めて(失踪した)」を最大数の回答としましたが、実際には「低賃金」であるがゆえに失踪したという答えだったことが明らかにされるなど、ひどいものでした。
産業界からの要望ということで、現在の労働環境の問題をもごまかしに使われる可能性があると感じざるを得ません。そうでないと政府が本当に説得したいのであれば、一刻を惜しんで法制化を強硬に進めるのではなく、適正なデータや国民理解をまずは優先すべきでしょう。
移民化が起きてから「なかったことに」することは不可能です。(増沢隆太)
RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。
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