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松屋と吉野家でこれだけ違う 「もうかる立地」の方程式とは?ネット上の「立地」も大事(5/6 ページ)

» 2018年12月04日 06時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

「なじみ性」と立地

 さらに、飲食店を成功させる上では「なじみ性が高い」業態を考えることが重要です。なじみ性とは、そのお店の商品を聞いただけで「あんな料理だな」とか「食べたいな」とすぐに思ってもらえる業態です。

 例えば「牛丼●●」という店名を聞いた時、「牛丼って何? どんな食べ物?」と不思議に思う人はほぼいないでしょう。一方で「バングラディシュ料理●●」という店名を聞いた時、バングラディシュという国は知っていても、どんな料理が食べられるのかを想像できない人は多いでしょう(私は個人的にバングラディシュ料理のカレーが大好きです!)。つまり、牛丼はなじみ性が高く、バグラディシュ料理はなじみ性が低い業態ということになります。

 では皆さん、おなじみの「牛丼店(チェーン)」は、日本で一番人口が多い東京都内に何店舗あると思いますか? 正解は937店舗です(出所:牛丼チェーン店舗数、以下同)。では、日本で一番人口が少ない鳥取県内の店舗数はいくつでしょうか? 正解は13店です。

 皆さんにとってあまりなじみ性が高くない「バングラディシュ料理専門店」は東京都と鳥取県にそれぞれ何店舗あると思いますか? インターネットで調べた限りでは、東京都が8店で、鳥取県は0店です。

 極端な例かもしれませんが、なじみ性が高い業態(例:牛丼店)は商圏内の人口が少ない立地でも成立する場合がありますが、なじみ性の低い業態は良い立地条件(一等立地)でないと成立し難いといえます。逆にいうと、なじみ性の低い業態は、圧倒的な人気店しか生き残ることができません。

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