金融系は、規模、それも金額的な規模を指向する。だが、それは、人的なステイタスクラブであることと両立しえない。現状は、かつての会員たちが長年にわたって築き上げてきた信用とステイタスを、正体不明の成金どもに小分けし安売りして喰い潰しているだけ。京都の不貞外国人旅行者アパートと同じ。会員会費を増やそうとゴルフクラブにスケボー連中を入れてグリーンを荒らすようなもの。
それで、信用とステイタスの核である従来の会員たちが抜ければ、ただの怪しい成金向けサラ金カード。いくらカネ余りの時代とはいえ、手堅いアッパーミドルクラスと違って、一発屋の成金富裕層が増えれば、額面上の総額は大きくなっても、リボなどの踏み倒しリスクも巨額になる。どのみち規模で言っても、もはやアメックスやVISA、MASTERSとは並ぶべくもない。このままでいけば、ダイナースは、これらのいずれかに吸収されて、いずれは消滅せざるをえまい。
誰でも買えるような物は、誰も買いたがらない。誰でも入れるような会は、誰も入りたがらない。ダイナースが生き残るためには、いっそ昔どおり、国家資格かMBA以上必須のように、あえて成金富裕層を蹴散らし(資格も学位も無い「名誉賛助会員」はプラチナ限定で会費十倍とか)、社会的信用のある限られたメンバーだけの上質のプレミアムクラブとなるような事業再認識が必要ではないか。
いくらカネがあっても、かんたんには入れない会であってこそ、それは格別のステイタスになる。繰り返すが、ダイナースはクレジットカード会社ではない。クラブだったはずだ。(純丘曜彰)
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