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» 2019年01月29日 06時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略 (1/5)

新型Mazda3(アクセラ)はいわゆるCセグメント。フォルクスワーゲン・ゴルフをベンチマークとする小型車で、トヨタ・プリウス、カローラなど世界最激戦区で戦うモデルだ。マツダにとって失敗が許されないモデルであり、成功すればマツダのイメージを大躍進させる重要な位置付だ。

[池田直渡,ITmedia]

 新型Mazda3(日本名:アクセラ)の先行試乗会が北米カリフォルニアで開催された。用意されたのは北米仕様のセダンと欧州仕様のハッチバックだ。

 セダンは2.5リッターのSKYACTIV-G(ガソリンユニット)2.5に6段ステップATという組み合わせで、北米らしくオールシーズンタイヤを履いたモデル。ハッチバックは2.0リッターSKYACTIV-G2.0にマイルドハイブリッドと6段MTが組み合わされ、こちらは通常のサマータイヤという成り立ちだ。

ロサンゼルス北の山岳路でのテストドライブ。新型Mazda3はしんわりと優しいスポーツ性能 ロサンゼルス北の山岳路でのテストドライブ。新型Mazda3はしんわりと優しいスポーツ性能

世界戦略モデル Mazda3

 背景を簡単に説明すれば、Mazda3はいわゆるCセグメント。フォルクスワーゲン・ゴルフをベンチマークとする小型車で、トヨタ・プリウス、カローラ、ホンダ・シビックなどが群雄割拠する世界最激戦区で戦うモデルだ。マツダにとって失敗が許されないモデルであるとともに、成功すればマツダのイメージを大躍進させる重要なモデルである。

 マツダはすでに全モデルをスモールシャシーとラージシャシーに分けることを発表しており、今回のMazda3はスモールシャシーの雛形となる。つまりこれが基準となってMazda2(日本名:デミオ)やCX-3が開発される。場合によってはCセグ級のフル4座SUVなどが追加で出てくる可能性もある。

 恐らくマツダはスモールシャシーをFFで、ラージシャシーをFRでと考えているだろう。その理由はこうだ。現在同社の生産余力はほぼ限界に達しており、それが200万台を超えるとなれば、生産をめぐる状況が変わってくる。従来のように1つの生産ラインで全モデルを作り分ける戦略の必要がなくなる。生産拠点が増えるからだ。生産拠点を2群に分けて、スモールシャシーを作るグループとラージシャシーを作るグループに分かれるだろう。

 200万台超えを狙うならば、重要になるのは北米マーケットだ。現在、北米のメインモデルは中型SUVのCX-9とDセグメントセダンのアテンザが担っているが、ここの競争力が不足している。北米でマーケットを取りにいく起爆力としてはどうしても3.0リッター級の6気筒エンジンが欲しい。当然それは話題のSKYACTIV-Xになるはずで、マツダの取り組むMBD開発(数理モデルベースのコンピュータシミュレーション開発)を踏襲すれば、吸排気の数理モデルを従来モデルと共有できないV6はあり得ない。自動的に直6搭載という流れが導き出されることになる。

 しかしながら長い直6ユニットは横置きFFにはあまりにも向かない。これを自然に、あるいはマツダのいう「人馬一体」の走りに仕立てるにはFRにするしかない。

 そういう長期戦略の第1歩になるのが、スモールシャシーの成功であり、その第1弾となるMazda3は失敗は許されない。

ボディサイドのインバース面に次々と映り込む光で表情を変えていくハッチバックのアクティブなデザイン ボディサイドのインバース面に次々と映り込む光で表情を変えていくハッチバックうのアクティブなデザイン

 しかも、12年からスタートした第6世代から、第7世代へとシリーズを刷新するトップバッターである。開発を取りまとめる常務執行役員の廣瀬一郎氏は第7世代についてこう説明する。

 「(第7世代になっても)私たちは開発哲学やお客さまにお届けしたい価値を変えるわけではありません。これまで、そして将来に渡って、マツダが一貫して追究していくお客さまへの提供価値、それは走る喜びです。

 そしてそこにこだわり続ける理由は、『カーライフを通じ、お客さまに人生の輝きを提供できる』こう考えるからです。マツダの目指す走る喜びは、例えばジェットコースターで感じるような急激な加速感やGの変化がもたらす高揚感ではありません。それは日常の通勤や買い物、家族との遠出といった運転シーンにおいて、まるで長く使い込んだ道具を扱うかのように、自分の意図通りに走り、曲がり、止まる。そんなことができ、その手応えを感じてずっと運転していたくなる。そういうものです。また人間が持つ自然に振る舞う動きとクルマの動きを一致させることによって、一緒に乗っている人までも、クルマの動きを自然に感じ、安心して乗っていただけることです」

 ちなみに第7世代の設計の具体的な構成要素については前回の記事で詳細を説明してあるので、ぜひご一読いただきたい。

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