マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

» 2019年01月29日 06時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 しかし、こうして運転しているうちに1つ気になることが出てきた。シート、ハンドル、ペダルの重要インタフェースについては万全のポジションが出たが、インテリアというか、室内空間の中で頭部、ことに目の収まり位置が沈んでいる。窓の下端ライン、特にピラー付け根に近い部分に対して頭の気持ち良い位置はもっと上だ。斜め下からの圧迫感がある。

 しかし一方で、Aピラーとの距離はこれ以上縮めたくない。信号で止まるたびに何度もシートポジションを変えて、折り合う位置を見つけ出したが、それは背もたれを少し倒したわずかながらもベストポジションとは違う位置だった。ステアリングのリーチを調整するチルトとテレスコの調整範囲が大きく取られているので、大きな問題にはならなかったが、本当はもう少し背もたれを起こしたい。

 マツダの人にそれを伝えると、「インテリアデザインとハードウェアのデザインの協調部分ではまだやるべきことがあると思います」とのことだった。欠点と言うほどではないが、ノイズがここにまだ残っていたことだけ指摘しておきたい。

 ちなみに、ここに述べたことは良い点でも悪い点でもセダンとハッチバック共通だ。

ハッチバックのデザインの最も特徴的な部分であるボリューム感とシャープさを共存させたリヤクオーターの形状 ハッチバックのデザインの最も特徴的な部分であるボリューム感とシャープさを共存させたリヤクオーターの形状

 差分について書いておくと、セダン用2.5の6ATは停まった直後の再発進で動力のつなぎ方が少々荒い。また減速して停止しかかったところからの再加速でもあたふたする感じが見えた。ドンと加速することを望む米国向けのセッティングとのことだが、もうすこし変速を我慢してシフトダウンせずにエンジンの低速トルクを使ってやった方が良い感じがした。

 ハッチバック用のマイルドハイブリッドはあまりアシスト感がないタイプ。自然を良しとすればこれで良いが、マイルドハイブリッドに期待が高い人にはちょっと肩透かしかもしれない。ちなみに筆者はこれで良い派である。

 むしろ差が大きかったのはタイヤで、セダンのオールシーズンタイヤは全体にクルマの動きがソフトフォーカス。ハッチバックに比べると鷹揚な感じに仕立てられている。一方のハッチバックはサマータイヤのおかげもあって動きがビビッド。これ以上アジリティが高いと人間が置いていかれるギリギリのところで手の内に収まっている感じだ。ちなみにそれがマツダの狙いどころだったという。

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