マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)

» 2019年01月29日 06時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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高速とワインディング

 ハイウェイでは2.5リッターのパワー炸裂かと思いきやそうでもない。基本的に穏やかなユニットだ。筆者はそう飛ばす方ではないので、速度制御力に優れたところを評価したい。少なくともエンジンに驚嘆するクルマではない。そこは2.0マイルドハイブリッドも同様で、国内では用意されるであろうディーゼルとSKYACTIV-Xの二大看板がどう評価を上げてくれるかが見どころになるだろう。

デザインのアクを減らして落ち着きを重視したインパネ デザインのアクを減らして落ち着きを重視したインパネ

 ワインディングではまさにミズスマシのようだ。思ったようにラインをトレースして気持ちよく走る。クルマの重さがよく分かる。それは軽すぎず重すぎず、実態をそのまま感じ取れるという意味だ。

 また、ターンインでブレーキを使う時の制御感は抜群だ。思った通りの荷重移動ができる。踏む側だけでなく抜く側でもリニアなのは素晴らしい。Mazda3のいろいろな美点の中でもこれは特筆に値するだろう。

 これはワインディングだけの話ではないが、クルマ全体の調和感が良い。思うがままというのはまさにこの感じ。

 ついでに言えば、このあたりの路面は日本とほぼ同等なので目安にしやすいが、ペースをそこそこ上げても、そういう路面での乗り心地は素晴らしい。いわゆる「熱い走り」を期待すると違うかもしれないが、じんわりと楽しい。助手席の人を置き去りにしない優しいスポーティさを持っている。

 ちなみに、試乗コースとなったエンジェルクレストハイウェイは、コースアウトしたら断崖絶壁。まあそもそも公道なので、レースのような走り方はしていない。その速度では限界など遥か向こうで、どこまでの能力があるのかは分からない。

 限界時の挙動がどうなのかはぜひ一度クローズドコースで試してみたい。相当に高いことが予想されるが、それが分かりやすいものであってくれたら、さらに高得点を入れられる。

ハッチバック用の2..0マイルドハイブリッドは欧州向けで国内発売は今のところ予定なし。北米モデルでは2.5リッターを搭載する ハッチバック用の2..0マイルドハイブリッドは欧州向けで国内発売は今のところ予定なし。北米モデルでは2.5リッターを搭載する

 結論として、Mazda3は、これまでの日本車の水準を塗り替えるレベルにあると思う。クルマ単体の評価は二重丸をあげられる。価格は発表されていないが、旧モデルを見る限りガソリンの1.5で183万円から269万円。ディーゼルが279万円から331万円。興味深いのは多くの期待が集まるSKYACTIV-Xモデルの登場時期と価格だが、一応ディーゼルよりは安いと言われているので、安く抑えて乗り出し300万円前後と筆者は期待している。本当にそうなったらちょっとした事件である。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

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